AIは生命になり得るか?
AIを起点に人間とテクノロジーのこれからの関係性について検討する5日間の集中キャンプ。
「自律性」をキーワードに、人々との協働を通じてあり得る未来のあり方を提案する。
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]では、多様な人々が協働し、アートとデジタルテクノロジーによる創作活動を行う短期集中ワークショップ「未来提案型キャンプ」を開催しています。本プログラムでは、選考を経た20名程度が、思考法を身につける講義、スキルセットをつくるワークショップ、グループワークによる協働制作を複数日にわたって行うほか、トークや成果展示等を一般公開します。
第5回目の開催となる今回のキャンプでは、「人工知能(AI)」を起点として「自律性」をキーワードに、人間とテクノロジーのこれからの関係性について「人工生命(ALife)」のプラクティスを参照しながら考え、提案します。
ChatGPTに代表される会話型AIの台頭は、まるで生きた人間と会話しているかのような感覚をユーザーに覚えさせ、機械と人間が共生する社会の到来を私たちに想像させます。では、GPTは「生きている」のでしょうか?なぜ私たちは、自分が「生きている」と思えるのでしょうか?
本キャンプでは、非生命である機械が生命に近づくために必要な要素を「自律性」であると仮定し、AIが自律性を得たとき、それは生命になり得るかを検討します。これは私たちの知性や身体性、すなわち「人間らしさ」について探求することであるとともに、これから生命になり得るかもしれない人工システムを「他者」として受け入れる未来を想像することでもあります。そして、未来の技術と社会のあり方を考えるにあたって検討すべき対象は、自然界における生態系から人権、また倫理的課題にまで広がります。
本プログラムは、ALife研究とそこから生まれた理論や情報技術の社会応用に取り組む東京大学大学院総合文化研究科 池上高志研究室との共同ディレクション、ならびに、イギリス・ブリストルのラボ型文化拠点Watershedとの連携により開催します。また、AIの仕組みや技術的背景の探求から作品発表を行うアーティスト、生命的な振る舞いや特質をヒントに制作に取り組むプログラマーやファッションデザイナー等、実践者を講師に迎えます。各講師によるレクチャーやワークショップを通じて、AIおよびAlifeの技術や理論と、それらを活用した創造性について学び、さらに、グループワークによる共創を通じて、これからの社会に必要なルール/システムについての構想や、新たな表現を生み出すことに挑戦します。
プログラムディレクター
・升森敦⼠(人工生命研究者、東京大学大学院特任研究員/Alternative Machine Inc. 代表取締役)
・土井樹(Alternative Machine Inc. シニアリサーチャー、学術博士)
講師・ファシリテーター
・Alter3
・池上高志(理学博士(物理学)、東京大学広域システム科学系 教授)
・江間有沙(東京大学国際高等研究所 東京カレッジ准教授、理化学研究所 革新知能統合研究センター 客員研究員)
・キョウダカンジ(AIファッション・リサーチャー)
・johnsmith(アーティスト、研究者)
・長見佳祐(HATRA/ファッションデザイナー)
・Playfool(デザイナー、アーティスト)
・堀川淳⼀郎(プログラマー、アルゴリズミックデザイナー)
・丸⼭典宏(Alternative Machine Inc. シニアリサーチャー、東京大学大学院特任研究員)
・Martin O’Leary(スタジオ・コミュニティ責任者/Pervasive Media Studio)
・吉田崇英(東京大学池上高志研究室博士課程)
・Rachel Smith(アーティスト、ソフトウェアエンジニア、クリエイティブテクノロジスト) 他
開催概要
開催日時:2025年1月25日(土)〜1月29日(水)11:00〜19:00頃(予定)
活動報告・成果展示:1月30日(木)〜2月2日(日)
会場:シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
プログラム・カリキュラム(予定・随時更新)
Day1:AI and Beyond – 1月25日(土)
イントロダクション
参加者活動紹介
AIレクチャー(講師:江間有沙)
AIハンズオン・ワークショップ(講師:升森敦⼠、土井樹)
基調講演(講師:池上高志)※詳細後日発表
Day2:ALife? – 1月26日(日)
自律性ワークショップ(講師:Playfool)
ALifeハンズオン・ワークショップ(講師:升森敦⼠、土井樹)
Day3:Creative Implementation – 1月27日(月)
レクチャー、ハンズオン・ワークショップ他
(講師:Martin O’Leary、Rachel Smith、堀川淳⼀郎、長見佳祐)
グループワークのブレインストーミング
Day 4 – 1月28日(火)
グループワークによる共創
中間発表
Day 5 – 1月29日(水)
グループワークによる共創
成果発表(展示期間:1月30日(木)〜2月2日(日))
応募要項
応募受付期間:2024年12月5日(木)〜12月19日(木)厳守
募集人数:20名程度
年齢不問
応募要件:
・会期中のすべてのカリキュラムに参加可能であること。
・研究や創作活動等の実績を有すること。
・今後の活動目標や活動計画を有すること。
参加対象者:
・AI・ALife技術を用いて、新しい創作にチャレンジしたい方
・表現活動のみならず、福祉や教育、経済等の分野におけるAI技術の活用に興味がある方
・生命の特徴をもつソフトウェアやハードウェアの開発に関心を持つ方
・AI時代における社会的・倫理的課題について、創造的な視点から検討を試みたい方
・デジタルトランスフォーメーションにおける思考、マインドセットに興味がある方
・Beyond AIについて検討したい方
選考基準:
申込多数の場合は、応募内容をもとに主催者にて選考を行い、参加者を決定します。
選考結果の通知:
2024年12月24日(火)(予定)に応募者のメールアドレス宛にご連絡します。
応募方法:
申込フォームにてお申し込みください。
もしくは、件名を「未来提案型キャンプ応募」とし、本文に以下の内容を明記の上、メールにてccbt@rekibun.or.jpまでお送りください。
【記載事項】※ は必須にて記載ください。
・氏名(ふりがな)(※)
・年齢(※)
・居住都市(※)
・メールアドレス(※)
・職業・所属先(※)
・専門分野・領域(下記よりお選びください/複数回答可)その他を選ばれた方は別途ご記入ください(※)
(アート・現代美術、デザイン、プロダクト開発、事業開発、エンジニア、建築、教育、行政、生物学、物理学、人文学、環境学、哲学、その他)
・生成AIや大規模言語モデル(LLM)の利用・活用経験の有無とその具体的な内容
・未来提案型キャンプへの参加を希望する理由・期待すること(400文字以内)(※)
・未来提案型キャンプ参加にあたり希望する情報保障支援、サポートがあれば記載ください。
例:指点字通訳、触手話通訳、字幕
・このほか、ご自身の活動を紹介するポートフォリオ、映像資料、ウェブサイトやGithubなどがあればリンクを記載ください。
東京大学大学院総合文化研究科 池上高志研究室
15年以上にわたり人工生命の研究を行う。遺伝暗号の進化、突然変異率、協力関係等のテーマにはじまり、Dynamical RecognizerモデルやRecurrent Neural Networkを活用し、統合的な認知システムの複雑性を探求。近年では、人工生命の現実世界への構築や、大規模言語モデルへの接続を通して人工生命に意味の理論を統合する試みにも挑戦している。
Watershed(ブリストル、イギリス)
領域横断的にアートを展開するイギリス有数の芸術組織で、40年以上にわたってイノベーションと挑戦を実践し続けている。ヨーロッパでも屈指の、また南西イングランドで唯一マルチスクリーンを備えたインディペンデントな文化映画館であり、ロンドン以外で年間を通じて世界中の映画が鑑賞できる数少ない施設のひとつでもある。
2008年に「Pervasive Media Studio」を設立、その共同的創造活動の精神は、国際的な評価を高めネットワークを広げている。エクスペリエンスデザインとクリエイティブテクノロジーを研究する100名以上の優れたアーティスト、クリエイティブ系企業、技術者、学者から成るコミュニティ向けにスペースを提供。遊びやロボット工学、サイト・スペシフィック・メディア、食、コネクテッド・オブジェクト、インタラクティブ・ドキュメンタリーや新形態のパフォーマンスなど多岐にわたる文化的・商業的プロジェクトを展開している。