2026年度アーティスト・フェローである楊いくみによるプロジェクト「早春図」の活動の一環として、さまざまな専門家を招いた公開リサーチシリーズ「Scratchpad」を開催します。
第一回目のゲストには、横浜美術館館長・蔵屋美香氏を迎えます。
パフォーマンスを「人のいる風景画」と捉え、観客、パフォーマー、都市、映像、音響などが重なり合う状況をつくり出してきた楊。本プロジェクトでは、その実践を原宿・渋谷という都市へと展開しながら、社会や都市、衣服、身体をめぐる複数の関係について考察していきます。
北宋の画家・郭熙による《早春図》には、「高遠・深遠・平遠」と呼ばれる複数の遠近表現が、一枚の画面のなかに共存しています。ひとつの固定された視点から風景を見渡すのではなく、視線の移動とともに異なる距離や場所、時間が立ち現れていきます。
複数の場所や出来事が同時に存在し、絶えず接続されている現在において、私たちはどのように世界を捉えることができるのでしょうか。また、「個人」を独立した主体としてではなく、他者や環境、さまざまな関係のなかから立ち現れるものとして考えることはできるのでしょうか。
本公開リサーチでは、国内外の現代美術を長年にわたり見つめてきた横浜美術館館長・蔵屋美香氏を迎え、アーティストの楊いくみとともに、郭熙《早春図》をひとつの出発点として、「見ること」と「世界のなかにいること」について考えます。美術史上の《早春図》を専門的に読み解くことだけを目的とするのではなく、複数の視点、複数の距離、異なる時間や出来事がひとつの場に共存するという感覚を、現代の美術や社会へとひらいていきます。
こうした問いから、楊が制作を進める《早春図》を見つめ、複数地点をつなぐ視点や、「来るかどうかわからない春を待つ」という時間の感覚とも接続しながら、単一の視点には回収されない世界の捉え方を探ります。
どなたでもお気軽にお越しください。

Image: National Palace Museum, Taipei, CC0
参加方法について
参加方法は、オンライン配信、または現地会場(CCBT)の2種類があります。
・現地会場での参加
会場での参加は要申込です。下記のリンクボタンよりフォームにてお申込みください。
・オンライン配信での参加
お申込みは不要です。開始時間に以下からアクセスし、ご覧ください。
プロジェクト「早春図」
ファッションは自己表象に有効な装置として信じられているが、「選択すること」と「与えられること」の境界は今日も存在するだろうか——という問いを起点に、東洋絵画の遠近法「三遠(高遠・深遠・平遠)」の概念を方法論として都市空間に投影したパフォーマンス・インスタレーションを展開する。同時多発的に分散して立ち上がる状況群は、一つの出来事としてリアルタイムで編み直され、公開される。演者と鑑賞者の境界を揺るがしながら、冬の時代にある自己の先に訪れる「早春」の風景を探る。

CCBT「アート・インキュベーション・プログラム」とは
CCBTのコアプログラムのひとつである「アート・インキュベーション」は、クリエイターに新たな創作活動の機会を提供し、そのプロセスを市民(シビック)に開放することで、都市をより良く変える表現・探求・アクションの創造を目指すプログラムです。公募・選考によって選ばれる5組のクリエイターは、「CCBTアーティスト・フェロー」として、企画の具体化と発表、創作過程の公開やワークショップ、トークイベント等を実施し、CCBTのパートナーとして活動します。





