2025年度 CCBTアーティスト・フェロー藤嶋咲子によるプロジェクト「コエノクエスト —都市に残されたセーブデータ」の成果発表として、展覧会「Re: Play」をCCBTで開催!
2025年度 CCBTアーティスト・フェローである藤嶋咲子が取り組むプロジェクト「コエノクエスト —都市に残されたセーブデータ」では、プロジェクトの成果発表として展覧会「Re: Play」を開催し、新作ゲームインスタレーション作品を公開します。
「コエノクエスト —都市に残されたセーブデータ」は、都市に埋もれた声を可視化し、これまで交わることのなかった他者との対話の場を生み出すことで、世界の見え方に揺らぎを与えるゲーム作品を制作するプロジェクトです。これまでに対話型スゴロクゲームワークショップ「SAVE 0 : マインドクエスト」などを通じて、都市に生きる人々の日常に沈む違和感や小さなつぶやきを収集してきました。
本展ではその成果として、ゲームインスタレーション作品「Re:Play」を中心に、「SAVE0:マインドクエスト」など複数の作品を展示・発表します。仮想都市を舞台にした体験や対話型のゲームを通して、都市に潜むさまざまな声に触れ直す機会をひらきます。
アーティスト・ステートメント
この都市で生きていると、わたしたちは常に何らかのロール(属性)を割り振られ、演じることを求められます。
性別、年齢、肩書き、学歴、職業、既婚・未婚、親か子か、介護者か被介護者か、健常者か障がい当事者か、日本人か外国人か、正社員か非正規か、管理職か部下か。無数のラベルが、社会の中のわたしたちを、位置づけます。
ロールに割り当てるセリフは昔から決まっていたかのようで、私自身から湧き出る声がノイズに聞こえてしまうこともあります。
違和感や息苦しさは、しばしば「ただの愚痴」として処理され、「そんなことで弱音を」と揶揄される。そんな私を透明化するのは、他者だけでなく、私自身でもあります。行き場を失ったノイズは、この都市のどこへ行くのでしょうか。
私は、本プロジェクトの制作過程の間に妊娠し、心身に変化が現れ、アイデンティティが再形成される、「母になる」という1年弱のロールプレイを演じてきました。そして、私とロールの間で折り合いのつかないノイズは、「お母さんなのだから」という紛うことなく自明な正しさの下で、ゆっくりと透明化されてきました。
母親に限らず、社会に与えられるロールを、わたしたちはプレイし続けます。「男なんだから」、「もう〇歳なんだから」、「〇〇人なんだから」、「管理職なんだから」…
ロールと社会システムは共犯的に結びつき、わたしたち個人は、社会的ロールに沿ったプレイヤーへと調律されてきました。そして今、デジタル化されたわたしたちの膨大な情報は、AIにより吸収され、かつてない処理能力と効率性をもたらそうとしています。テクノロジーは、マジョリティが生み出す圧倒的な情報量を元に、全体多数が効率的に生き延びていくための、効率化装置なのでしょうか。
本作は、その問いに向き合います。ゲームというフレームの中で、AIやテクノロジーを、わたしたちの発するノイズを都市の中で反響させるための装置として用います。
ここに表れるのは、単なるNPC(Non-Player Character)ではありません。
ロールを与えられた存在でありながら、その内側に固有の魂を宿す実存するコエです。
NPCとPlayerの境界がゆらぐこの場所で、あなたの現実は、少しずつ更新(Re: Play)されはじめるはずです。
藤嶋咲子
留意事項
・作品体験時間は約20~40分です。状況や曜日により、予告なく整理券制等に変更となる場合がございます。
・ゲーム体験の最終受付時間は18:00です。
・会場まで坂道があります。車椅子の方など移動に不安のある方は、事前にCCBTまでご連絡ください。
・3月7日(土)のみ、オープニングイベント設営のため、18:30以降は3F展示作品の一部をご鑑賞いただけません。あらかじめご了承ください。
・本展会期中の土曜日と日曜日(3月7日、8日、14日、15日、21日)は、13時〜17時まで託児サービスを無料でご利用いただけます。利用をご希望される方は、当日会場でスタッフまでお声がけください。(定員2名、1回90分まで)
・その他ご不明点は、CCBTまでお問い合わせください。
オープニングトーク&ワークショップ
「『小さなコエ』をプレイする ──効率化の都市を、あそびがハック」
あそび(Play)というルールがあれば、私たちは無関心の壁を超えて、もっと深く響き合える?
展覧会「Re:Play」の関連イベントとして、ゲーム/社会課題/アートの視点から語るトークと、みんなでシリアスボードゲームをプレイするワークショップを開催!
開催日時:2026年3月7日(土)19:00〜21:30(開場18:45〜)
会場:シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]3F
参加費:無料、要事前申込 ※申込者多数の場合は抽選
トーク登壇者:藤嶋咲子(アーティスト)、堀潤(ジャーナリスト、キャスター)、吉田寛(東京大学 教授)
ワークショップ講師:藤嶋咲子(アーティスト)

クレジット
企画・制作: 藤嶋咲子
ゲーム開発・実装: 永松歩
ボードゲーム制作アドバイザー:大空理人
サウンド:劉 辰
照明: 今井亨
展示設計: 細野隆仁(OFF-FLAT)
テクニカルディレクション: 木村悠介(arsaffix)
テクニカルスタッフ: 乙戸将司(CCBT)、中路景暁(arsaffix)、三浦大輝(arsaffix)
テクニカルアドバイザー: 平瀬ミキ
テクニカルサポート:上田蟬 / セン・ファン・デル・ハイデ(CCBT)
デザイン: 松田洋和
PR・体験設計: 浅井玲央
SNSプロモーション:瀬賀 未久
スチル撮影:山城功也
映像記録: ブレント・ローズ(Tokyo Video Plus)、藤嶋花衣(Tokyo Video Plus)
プロジェクトマネジメント: 伊藤遥(CCBT)、岩倉慧、北堀あすみ、原泉(CCBT)
制作進行: 上原望乃叶(TASKO)、加藤夏帆(TASKO)、向井寛(TASKO)
協力:ビッグイシュー日本、ベビーシッターTOKYO
主催: シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
CCBT「アート・インキュベーション・プログラム」とは
CCBTのコアプログラムのひとつである「アート・インキュベーション」は、クリエイターに新たな創作活動の機会を提供し、そのプロセスを市民(シビック)に開放することで、都市をより良く変える表現・探求・アクションの創造を目指すプログラムです。公募・選考によって選ばれる5組のクリエイターは、「CCBTアーティスト・フェロー」として、企画の具体化と発表、創作過程の公開やワークショップ、トークイベント等を実施し、CCBTのパートナーとして活動します。
プロジェクト「コエノクエスト —都市に残されたセーブデータ」
都市に埋もれた声を可視化し、これまで交わることのなかった他者との対話の場を生み出すことで、世界の見え方に揺らぎを与えるゲーム作品を制作するプロジェクト。ゲーム内に登場するアバターは、実在する都市生活者の語りをもとに生成され、プレイヤーはその営みや痛みに触れながら、自身の輪郭の外側にある価値観や生き方に出会っていく。体験はインスタレーションとして展開され、記録された対話のログは再編集のうえ公開される。年齢、性別、国籍、経済状況、思想などに起因する分断を背景に、すれ違う声が交差する状況から、新たなコモンズの可能性をひらく手がかりを探る。






