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アート・インキュベーション

シンポジウム「匂いが意味をもつとき~美学X化学Xデジタル技術の視座から~」(上田麻希「Olfacto-Politics: The Air as a Medium(嗅覚の力学 〜メディウムとしての空気〜)」関連)

2025.11.15(土)
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
 
開催日時
2025年11月15日(土) 14:00-18:00(開場13:45〜)
会場
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
定員
70名
参加費
無料
事前申込
不要

登壇者:上田麻希(嗅覚アーティスト)、楠尚子(調香師、嗅覚アーティスト)、岩﨑陽子(嵯峨美術短期大学教授)、東原和成(東京大学大学院農学生命科学研究科教授、農学部長)、氏本勝也(株式会社リコー)

2025年度のCCBTアーティスト・フェローである、嗅覚アーティスト・上田麻希のプロジェクト「Olfacto-Politics: The Air as a Medium(嗅覚の力学 〜メディウムとしての空気〜)」における活動の一環としてシンポジウムを開催します。嗅覚分野の第一線で活躍されている方々をゲストに迎え、上田麻希とともに意見を交わします。どなたでも、ぜひお気軽にお越しください。

2025年度 CCBTアーティスト・フェローである上田麻希によるプロジェクト「Olfacto-Politics: The Air as a Medium(嗅覚の力学 〜メディウムとしての空気〜)」では、シンポジウム「匂いが意味をもつとき〜美学X化学Xデジタル技術の視座から〜」を開催します。

歴史的に嗅覚は、視覚や聴覚に比べて劣った感覚と認識され、長らく軽視される傾向にありました。しかし近年、美学や芸術実践における嗅覚表現の広がり、化学的研究による知見の深化、さらにデジタル嗅覚技術の進展が注目を集めています。

本シンポジウムでは、目には見えない匂いの感覚が、私たちの生活や文化にどのように関わり、今後どのような可能性を拓いていくのかを考えます。登壇者には、美学の視点から芸術における嗅覚表現を論じる岩﨑陽子氏(嵯峨美術短期大学教授)、化学の視点から匂いを感じ取る仕組みとその意味を紹介する東原和成氏(東京大学教授)、そしてデジタル技術の視点から空気や匂いの記録・再現に取り組む氏本勝也氏(株式会社リコー)を迎えます。

匂いを日常の刺激や癒しにとどめず、美学・化学・テクノロジーをつなぐ新たな切り口として議論を展開します。

どなたでもお気軽にお越しください。

*株式会社リコーによるFAIMS(デジタル嗅覚)のライブ計測デモンストレーションあり

プロジェクト「Olfacto-Politics: The Air as a Medium(嗅覚の力学 〜メディウムとしての空気〜)


匂いを手がかりに「コモンズとしての空気」について学び、見えない空気を見える化・体験化する複合プロジェクト。レクチャー・ワークショップからなる学びの場の創出、極めて主観的な感覚である嗅覚をテクノロジーで測ることで嗅覚世界を可視化するリサーチ、空気の循環を表現する空間作品を制作・発表する三つのフェーズから成る。人間を含む全ての生物が多種多様な情報をやりとりしている「空気」から、生物多様性やバイオームへの思考を促し、世界を捉える新たな視点を生み出すことを目指す。


CCBT「アート・インキュベーション・プログラム」とは

CCBTのコアプログラムのひとつである「アート・インキュベーション」は、クリエイターに新たな創作活動の機会を提供し、そのプロセスを市民(シビック)に開放することで、都市をより良く変える表現・探求・アクションの創造を目指すプログラムです。公募・選考によって選ばれる5組のクリエイターは、「CCBTアーティスト・フェロー」として、企画の具体化と発表、創作過程の公開やワークショップ、トークイベント等を実施し、CCBTのパートナーとして活動します。

上田麻希Ueda Maki

嗅覚アーティスト

2005年以来、嗅覚とアートの融合を試み、匂いをマテリアルとした作品を発表。欧米の嗅覚アート界の先駆者的アーティストのひとりとなる。2009年よりオランダ王立美術大学など世界各地にて教鞭を取り、多くの嗅覚アーティストを輩出。世界的な嗅覚アートの殿堂、アート・アンド・オルファクション・アワード・エキスペリメンタル・カテゴリーに5回連続ノミネート。2022年には最優秀賞を受賞。令和6年度文化庁長官表彰。現在は石垣島に嗅覚アート研究所を構え、嗅覚教育や嗅覚ツーリズムに取り組む傍ら、世界各地で展示やワークショップを展開する。

楠尚子Kusunoki Naoko

調香師、嗅覚アーティスト

大学で国際政治とグラフィックデザインを学んだ後、大学院にてコンテンポラリーアートにおける嗅覚表現を研究。香りを芸術の領域でいかに位置づけ、表現し得るかを探究している。既製品に依存せず調香を行う専門ブランド「YOUR EXCLUSIVE」を創設し、実践と研究を往還しながら活動を展開。展覧会においては香りの創作のみならず、多様なメディアを通じて嗅覚の可能性を提示している。東京と京都を拠点に活動。ラリー・シャイナー著『においの芸術』(2025年、晃洋書房)翻訳者。

岩﨑陽子Iwasaki Yoko

嵯峨美術短期大学教授

大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。専門はフランス美学、香道研究、香りの現代アート。一般社団法人オルファクトリーフレイル学会副理事長、Perfume Art Project代表。メルロ=ポンティの身体論を基盤に芸術と身体の美学を研究し、近年は嗅覚とアートをめぐる実践研究、国際展覧会企画、日仏交流、講演など幅広く活動。香道への関心も深く、香りと記憶を軸に高齢者の快適空間創出を国際共同で探究している。

東原和成Touhara Kazushige

東京大学大学院農学生命科学研究科教授、農学部長

東京大学農学部卒業後、米国NY州立大学ストーニーブルック校でPh.D.取得。デューク大学博士研究員、神戸大学などを経て現職。ERATO東原化学感覚シグナルプロジェクト研究総括も務める。匂いやフェロモンを感じる仕組みを研究し、著書に『においと味わいの不思議』(2013年、虹有社)、『ワインの香り』(2017年、虹有社)。日本学士院学術奨励賞、国際Wright賞、日本味と匂学会賞ほか受賞歴多数。

氏本勝也Ujimoto Katsuya

株式会社リコー 未来デザインセンター TRIBUS推進室

大阪府立大学工学研究科博士後期課程修了、博士(工学)。株式会社リコーにてFAIMS(イオン移動度分析)を用いた気体・におい計測技術を開発。リアルタイム・ポータブルな気体計測を実現し、大気環境調査や労働安全衛生、製造業の官能検査DX、ホテル・自動車の臭気評価など多分野に展開。行政や大学との共同研究を通じ社会実装を進め、気体・においのデータ化による新たな価値創出を目指す。Digital Olfaction Society Best Demonstration Award 2022、World of Safety and Health Asia Award 2025 受賞。

企画・制作
上田麻希
主催
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT](公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)