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アート・インキュベーション

布施琳太郎 全天球上映「観察報告:空の証言」

2025.03.15(土)
コスモプラネタリウム渋谷(渋谷区文化総合センター大和田12F)
開催日時
2025年3月15日(土)14:30〜/16:00〜/17:30〜(各回1時間程度)
会場
コスモプラネタリウム渋谷(渋谷区文化総合センター大和田12F)
定員
各回100名
参加費
無料
事前申込
先着順・事前予約制
申込受付期間
2025年1月15日(水)20:30〜上限に達し次第終了
情報保障支援
車椅子ユーザの方は申込時にお知らせください。

2024年度 CCBTアーティスト・フェロー 布施琳太郎の「かたり」と「映像」による、プラネタリウムでの上映会を開催。葛西臨海公園を舞台に架空の水族園構想を提示する「市外劇=ツアー型展覧会『パビリオン・ゼロ:空の水族園』」、再び。

2024年度 CCBTアーティスト・フェローである布施琳太郎は、言説なき日本現代美術の内側から「日本の大地=根拠(ground)とはなにか?」をあらゆる手段を通じて問いかけ、拡張されたランド・アートとして制作するプロジェクト「パビリオン・ゼロ」を展開しています。この度、「ツアー型展覧会」「全天球上映」「雑誌刊行」の3つの要素から構成される本プロジェクトの「全天球上映」にあたる、「観察報告:空の証言」を開催します。

全天球上映「観察報告:空の証言」は、プロジェクトの中心企画として2025年2月に開催する、葛西臨海公園を舞台に架空の水族園構想を提示する「市外劇=ツアー型展覧会『パビリオン・ゼロ:空の水族園』」の内容を「かたり」と「映像」によってリプレイする試みです。

ツアー型展覧会では、ヘッドマウントディスプレイを装着した参加者たちが、現実と虚構のあいだを飛び回りながら、公園の陸、海、空のなかから想像上の水族園を読み出して、観測します。その観測報告が、古くから存在するXR(クロスリアリティ)装置とも言える「プラネタリウム」で開催される、「空の証言」です。ここでは、プラネタリウムの球面スクリーンは一時的に想像上の水族園となります。

さらに、プラネタリウムにおける催しには、多くの場合、天体の運動や宇宙の起源について紹介しながら機器を操作する「語り部」が存在しますが、本上映会では、この「語り部」を布施が務めます。

単なる記録上映でなく、テクノロジーと身体の関係を再構築し、芸術の現在地を明らかにするための布施によるパフォーマンスの場である「全天球上映『観察報告:空の証言』」に、ぜひお集まりください。

開催概要

全天球上映「観察報告:空の証言」
日時:2025年3月15日(土)14:30〜/16:00〜/17:30〜(各回1時間程度)
投影時刻開始後はご入場いただけません。時間に余裕をもってご来場ください。
会場:コスモプラネタリウム渋谷(渋谷区文化総合センター大和田12F)
定員:各回100名程度(先着順・事前予約制)
参加費:無料
申込方法:応募フォーム(peatix)よりお申し込みください。
申込受付期間:2025年1月15日(水)20:30〜上限に達し次第終了

アクセス

コスモプラネタリウム渋谷(渋谷区文化総合センター大和田 12F)

・「渋谷駅」各線下車 徒歩10分程度
・CCBTより徒歩18分

クレジット

かたり部、企画、脚本、映像編集:布施琳太郎
音楽:小松千倫

プロジェクト「パビリオン・ゼロ」

リサーチ、実践、理論を包括的に展開し、言説なき日本現代美術の内側から「日本の大地=根拠(ground)とはなにか?」を問い直す、布施琳太郎によるアートプロジェクト。東京湾に無数に存在する「埋立地」という人工大地を思想的な視点で探究する。市街劇=ツアー型展覧会を中心に、プラネタリウムにおけるアーカイブ映像上映、リサーチやインタビューをまとめた雑誌刊行の3つの要素により構成される。


プロジェクト構成

1. 市外劇=ツアー型展覧会「パビリオン・ゼロ:空の水族園」

ー都内某所の陸上〜空中〜海上でXR体験、パフォーマンス、作品展示などを展開

日時:2025年2月8日(土)、9日(日) 10:00〜/13:30〜(各回2時間程度)
会場:葛西臨海公園
定員:各回20名程度(全4回・事前予約制)※申込者多数の場合は抽選
参加費:無料
申込期間:2025年1月15日(水)記者会見終了後〜1月24日(金)

2. 全天球上映「観察報告:空の証言」

ープラネタリウムを舞台とした水族園空間のシミュレーション上映

日時:2025年3月15日(土)14:30〜/16:00〜/17:30〜
会場:コスモプラネタリウム渋谷(渋谷区文化総合センター大和田12F)
定員:各回100名(先着順・事前予約制)
参加費:無料
申込期間:2025年1月15日(水)記者会見終了後〜上限に達し次第終了

3. 雑誌『ドリーム・アイランド』

アーティスト、小説家、建築家、漫画家などの寄稿文、対談をあつめた雑誌刊行

公開:2025年3月11日(火)予定

「かたり」について(文=布施琳太郎)

かつて哲学者の坂部恵が大和言葉の「かたり」について論じた。坂部によれば、「かたり」は、「はなし」の素朴で生活的かつ水平的な関係とは異なり、明確な筋(プロット)を持っている。それは「かたり」が「語り」であると同時に「騙り」でもあるからこその特徴である。例えば教師という「かたり」の主体は意図的に演じられた仮象であり、教壇の上の主体の二重性において、授業という「かたり」は可能になるのだ。つまり「かたり」における「演じられた主体」(教師として語る/教師を騙る私)という二重性こそが、「はなし」と「かたり」を区別する。

・・・

僕にとっての「かたり」のサンプルはただひとつである。それは1980年代の日本で盛んだったテーブルトークRPGのリプレイ文化だ。コンピュータを用いずに、アナログな紙や鉛筆、サイコロ、ゲームブックによってプレイされるテーブルトークRPGにおいて、それまでの現実から離陸してファンタジーのなかへと旅立つためにプレイヤーたちが行うのは「かたり」だった。「かたり」によって部室に集まった学生たちは勇者や魔法使いとなるのだ。

しかしテーブルトークRPGの面白さはゲームマスターの話芸によって左右される。そこでパソコンとゲームの専門誌「コンプティーク」(角川書店)で1986年9月号より展開されたリプレイ企画(座談会記事とファンタジー小説のあいだのような文体)が人気を博した。テーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のリプレイとして連載された『ロードス島戦記』は書籍化されてミリオンセラーを記録。その後のライトノベルの起源とも呼べるものとなったのだ。


CCBT「アート・インキュベーション・プログラム」とは

CCBTのコアプログラムのひとつである「アート・インキュベーション」は、クリエイターに新たな創作活動の機会を提供し、そのプロセスを市民(シビック)に開放することで、都市をより良く変える表現・探求・アクションの創造を目指すプログラムです。公募・選考によって選ばれる5組のクリエイターは、「CCBTアーティスト・フェロー」として、企画の具体化と発表、創作過程の公開やワークショップ、トークイベント等を実施し、CCBTのパートナーとして活動します。

布施琳太郎プロフィール
撮影:竹久直樹

布施 琳太郎Fuse Rintaro

アーティスト

スマートフォンの発売以降の都市における「孤独」や「二人であること」の回復に向けて、自ら手がけた詩やテクストを起点に、映像作品やウェブサイト、展覧会のキュレーション、書籍の出版、イベント企画などを行っている。 主な活動として自作小説に基づいたインスタレーション「もうひとつのミュウ」(2024/横浜市民ギャラリー『新・今日の作家展』)、個展「新しい死体」(2022/PARCO MUSEUM TOKYO)、廃印刷工場におけるキュレーション展「惑星ザムザ」(2022/小高製本工業跡地)など。著書として『ラブレターの書き方』(2023/晶文社)、詩集『涙のカタログ』(2023/パルコ出版)。

小松 千倫Komatsu Kazumichi

音楽家、美術家、DJ

1992年高知県生まれ。過去の情報の伝達や保存における根源的な諸技術のあり方について光や音を用いて研究・制作を行なっている。主な展覧会に「Osaka Directory 7 supported by RICHARD MILLE 小松千倫」(2024年、大阪中之島美術館、大阪)、「FAKEBOOK」(2016年、Workstation.、東京、2016)、「Standing Ovation ¦ 四肢の向かう先」(2021年、旧ホテルニューアカオ、静岡)、「惑星ザムザ」(2022年、牛込神楽坂、東京)などがある。

https://kazumichikomatsu.com/
企画・制作
布施琳太郎
主催
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT](公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)