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アート・インキュベーション

布施琳太郎記者会見 プロジェクト「パビリオン・ゼロ」

2025.01.15(水)
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
 
開催日時
2025年1月15日(水)19:00〜20:30
会場
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
定員
100名 ※どなたでもご参加いただけます
参加費
無料
事前申込
不要 ※プレスの方は要事前申込
配信
https://www.youtube.com/live/2NMBZ9YA0es

取材申込:ccbt@sankai-pro.com(担当:四元・山本)

2024年度 CCBTアーティスト・フェロー 布施琳太郎によるプロジェクト「パビリオン・ゼロ」始動に伴う、記者会見を開催します。布施本人よりプロジェクトの詳細を発表するとともに、後半では、落合陽一氏、椹木野衣氏をゲストに迎えた座談会も開催。どなたでもお気軽にお越しください。

この度、2024年度 CCBTアーティスト・フェローである布施琳太郎が、アート・インキュベーション・プログラムにおいて取り組むプロジェクト「パビリオン・ゼロ」の始動に際して、記者会見を開催します。
「ツアー型展覧会」「全天球上映」「雑誌刊行」の3つの要素で構成される本プロジェクトは、言説なき日本現代美術の内側から「日本の大地=根拠(ground)とはなにか?」をあらゆる手段を通じて問いかけ、拡張されたランド・アートとして制作することを目的としています。

会見では、本プロジェクトの全貌を布施がご説明するとともに、シンボルの発表、プロジェクトの中心かつ最大の催し「ツアー型展覧会」の開催場所および参加アーティストを初公表。会見終了後より、参加者の募集を開始します。

さらに、会の後半ではアーティストの落合陽一氏、美術評論家の椹木野衣氏をゲストにお迎えし、このプロジェクトが投げかける問いを掘り下げます。どなたでも、お気軽にお越しください。

タイムライン

19:00〜19:30
第一部:プレゼンテーション「パビリオン・ゼロからはじまる芸術」[記者会見]
現実と虚構の錯乱をリセットし、新しい基準において芸術を行う宣言として、複合的な企画である「パビリオン・ゼロ」について企画者の布施琳太郎がプレゼンテーションを行う。

19:30〜20:30
第二部:布施琳太郎+落合陽一+椹木野衣「日本の大地=根拠(ground)とはなにか?」[座談会]
本プロジェクトは、布施が感じる2025年日本国際博覧会への違和感が起点となり企画された。座談会では、本万博においてシグネチャー・パビリオン「null2(いのちを磨く)」のプロデューサーを務める落合陽一氏、ゼロ年代に多数の万博論を著した椹木野衣氏を迎えて、これからの芸術と万博について議論する。

※当日はCCBT YouTubeチャンネルにて配信を行います

プロジェクト「パビリオン・ゼロ」

リサーチ、実践、理論を包括的に展開し、言説なき日本現代美術の内側から「日本の大地=根拠(ground)とはなにか?」を問い直す、布施琳太郎によるアートプロジェクト。東京湾に無数に存在する「埋立地」という人工大地を思想的な視点で探究する。市外劇=ツアー型展覧会を中心に、プラネタリウムにおけるアーカイブ映像上映、リサーチやインタビューをまとめた雑誌刊行の3つの要素により構成される。


プロジェクト構成

詳細は記者会見内で発表します。

1. 市外劇=ツアー型展覧会「パビリオン・ゼロ:空の水族園」

ー都内某所の陸上〜空中〜海上でXR体験、パフォーマンス、作品展示などを展開

日時:2025年2月8日(土)、9日(日)
会場:都内某所

定員:各回20名程度(全4回・事前予約制)※申込者多数の場合は抽選
参加費:無料
申込期間:2025年1月15日(水)記者会見終了後〜1月24日(金)

2. 全天球上映「観察報告:空の証言」

ープラネタリウムを舞台とした水族園空間のシミュレーション上映

日時:2025年3月15日(土)14:30〜/16:00〜/17:30〜
会場:都内会場

定員:各回100名(先着順・事前予約制)
参加費:無料
申込期間:2025年2月10日(月)開始予定

3. 雑誌『ドリーム・アイランド』

アーティスト、小説家、建築家、漫画家などの寄稿文、対談をあつめた雑誌刊行

公開:2025年3月11日(火)予定

記者会見に向けて(文=布施琳太郎)

第二次世界大戦終結から80年、阪神淡路大震災から30年の節目となる2025年、プロジェクト〈パビリオン・ゼロ〉が始動する。まるで「持続可能性」と「発展」をコインの裏表にしたようなテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げる日本国際博覧会(通称:大阪・関西万博)に対する「感性によるアナーキズム」として展覧会や雑誌刊行がなされる。

ディープフェイクが実在しないイメージを生成し、フェイクニュースによる世論工作すら可能な現代における危機とは、虚構によって現実が侵食されることではない。むしろ現実によって虚構が侵略されることだ。これは想像力の危機である。

この企画の中心にあるのは市外劇=ツアー型展覧会『パビリオン・ゼロ:空の水族園』という架空の水族園構想だ。空という文字に「ソラ」と「カラ」という読みを重ね合わせた本展は、都市の現実に演劇という虚構を重ねた寺山修司による「市街劇」という発明を参照している。寺山にとって「出会いの偶然性を想像力によって組織する」方法だった市街劇を、人類だけでない複数の〈いのち〉との出会いのために転用する意図については、記者会見と、それにあわせて公開されるステートメントで説明するつもりである。だが少なくとも、本展を通じて想像上の水族園を構想することは、現実から虚構を切り離し、虚構を再び私たちのものにする試みである。

しかし都内某所の陸上、空中、海上で実施される水族園構想だけが〈パビリオン・ゼロ〉ではない。批評や言説の不在が嘆かれる今日の美術業界に生きる布施なりの目線で、あくまで偶然の出会いのなかで、虚構と現実の関係をリセットするような「一次資料」を集めた雑誌『ドリーム・アイランド』も刊行する。おそらくこれまでの批評とは毛色が異なるテクストたちが集まるだろう本誌には、多数の人々がかかわることになる。

誰がかかわり、何がなされるのか、どのように参加、観測できるのか。その全容と意図については2025年1月15日の記者会見で明らかにする予定である。会見では布施琳太郎によるプレゼンテーションの後で、大阪・関西万博のシグネチャー・パビリオン「null2(いのちを磨く)」のプロデューサーである落合陽一氏、ゼロ年代に多数の万博論を著した批評家の椹木野衣氏を迎えての座談会も開催される(オンライン配信もあるので全国からアクセス可能)。

記者や批評家だけが集まるのではなく、この「出来事」をたくさんの方々によって目撃されることを期待している。また記者会見とは別で、以下の日程も確保していただきたい。

2025年2月8、9日:市外劇=ツアー型展覧会『パビリオン・ゼロ:空の水族園』
2025年3月15日:全天球上映『観察報告:空の証言』
2025年3月15日:雑誌『ドリーム・アイランド』

虚構を、想像力を、再び私たちのものにしたい。そのための旅路がいま、はじまる。


CCBT「アート・インキュベーション・プログラム」とは

CCBTのコアプログラムのひとつである「アート・インキュベーション」は、クリエイターに新たな創作活動の機会を提供し、そのプロセスを市民(シビック)に開放することで、都市をより良く変える表現・探求・アクションの創造を目指すプログラムです。公募・選考によって選ばれる5組のクリエイターは、「CCBTアーティスト・フェロー」として、企画の具体化と発表、創作過程の公開やワークショップ、トークイベント等を実施し、CCBTのパートナーとして活動します。

布施琳太郎プロフィール
撮影:竹久直樹

布施 琳太郎Fuse Rintaro

アーティスト

スマートフォンの発売以降の都市における「孤独」や「二人であること」の回復に向けて、自ら手がけた詩やテクストを起点に、映像作品やウェブサイト、展覧会のキュレーション、書籍の出版、イベント企画などを行っている。 主な活動として自作小説に基づいたインスタレーション「もうひとつのミュウ」(2024/横浜市民ギャラリー『新・今日の作家展』)、個展「新しい死体」(2022/PARCO MUSEUM TOKYO)、廃印刷工場におけるキュレーション展「惑星ザムザ」(2022/小高製本工業跡地)など。著書として『ラブレターの書き方』(2023/晶文社)、詩集『涙のカタログ』(2023/パルコ出版)。

©Impress Corporation

落合 陽一Ochiai Yoichi

メディアアーティスト

1987年生まれ、2010年ごろより作家活動を始める。境界領域における物化や変換、質量への憧憬をモチーフに作品を展開。筑波大学准教授、デジタルハリウッド大学特任教授。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサー。近年の展示として「おさなごころを、きみに」(東京都現代美術館、2020)、北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs( 北九州, 2021)、Ars Electronica(オーストリア、2021)、Study:大阪関西国際芸術祭(大阪、2022)、「遍在する身体,交錯する時空間」(日下部民藝館、2022)など多数。また「落合陽一×日本フィルプロジェクト」の演出など、さまざまな分野とのコラボレーションも手かげる。

https://yoichiochiai.com/

椹木野衣Sawaragi Noi

美術批評家

美術批評家。著書に『増補シミュレーショニズム』(2001年、ちくま学芸文庫)、『日本・現代・美術』(1998年、新潮社)、『戦争と万博』(2005年、美術出版社)、『後美術論』(吉田秀和賞、2015年、美術出版社)、『震美術論』(芸術選奨文部科学大臣賞、2017年、美術出版社)ほか。手掛けた展覧会に「アノーマリー」(1992年、レントゲン藝術研究所)、「日本ゼロ年」(1999年〜2000年、水戸芸術館 現代美術ギャラリー)、「平成美術:うたかたと瓦礫 1989–2019」(2021年、京都市京セラ美術館)。最新刊に『パンデミックとアート』(2024年、左右社)、『洲之内徹ベストエッセイ1〜2』(編著、2024年、筑摩書房)。現在、多摩美術大学教授。

企画・制作
布施琳太郎
主催
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT](公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)