複数の時間・空間・身体が重なり合う現代の感覚を手掛かりに、テクノロジーと舞台芸術の新たな可能性を探る短期集中キャンプ。
演劇というメディアの身体性とデジタル技術を融合させた創作に挑み、新たな「演劇」を共創します。
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]では、多様な人々が協働し、アートとデジタルテクノロジーによる創作活動を行う短期集中ワークショップ「未来提案型キャンプ」を開催しています。本プログラムでは、選考を経た20名程度の参加者が、思考法を身につける講義やスキル習得のためのワークショップ、グループによる協働制作を複数日にわたって行うほか、トークイベントや成果展示なども一般公開します。
第7回目となる今回は、東京・池袋で開催される舞台芸術祭「秋の隕石」との共同企画プロデュースで、演劇とテクノロジーをテーマに、東京芸術劇場にて実施します。テクノロジーと演劇表現の両分野で活躍する3名のディレクターによる協働ディレクションのもと、演劇におけるテクノロジーの活用を学ぶとともに、演劇というメディアを専門的に探究する交流の機会を創出し、未来に向けた新たな「演劇」の提案を目指します。


ディレクターズ・ステートメント
ご飯を作る時にradikoをかける。帰ってきてビールを空けながら配信のリアタイ待ちをする。メッシュ予報で30分後の雨雲の位置を見る。現在の日常風景は、複数化された時間・空間・身体の層から成り立っています。
私たちはテクノロジーと演劇を構成するものは複数の事象の「重ね合わせ」であると考えました。異なる存在たちが、異なるリズムと欲望を保ったままにそれぞれの時間と空間を重ね合わせること(同期・共在)、そして、模倣という行為を通じて、ひとつの身体と人格にもうひとつ(あるいはもっと多く)のそれらを重ね合わせること。テクノロジーと演劇の根源をなす重ね合わせの作用をさらに重ね合わせることによって、両者をどのように再定義し、増幅し、増殖させていくことができるでしょうか?
テクノロジーと演劇について考えるためには、何はともあれまずは手や身体を動かしてみることが大事です。本プログラムでは、料理に用いるピーラーやアニサキス検知用ライト(=ブラックライト)、ピピッとコンロのような、直感的に操作できる道具を用意します。参加者はこれらを「手に取って触れ」「実際に試す」ことで、AI/XRといったデジタルエンボディメント、サウンドデザイン、テキスト操作など、上演にまつわる諸技術に精通した講師たちとともに、その使い方を学びます。そしてキャンプ内でチームを組み、クリエーション期間を通し上演/展示作品の制作に取り組みます。
新しいテクノロジーのまとう、どこか魔術的な雰囲気は、演劇の儀礼的な性格、演じることのシャーマニズム的な性格を再び呼び起こすでしょう。しかしそれは、陶酔の熱狂からクールに身をかわす、きわめて素面(シラフ)のシャーマニズムであることでしょう。
プログラムディレクター
・江口正登(研究者)
・ゴッドスコーピオン(メディアアーティスト)
・篠田千明(演劇作家、演出家、学童指導員、観光ガイド)
講師・ファシリテーター
・岸裕真(アーティスト)
・JACKSON kaki(アーティスト、DJ、VJ、映像作家、グラフィッ クデザイナー)
・中井悠(音楽その他、東京大学副産物ラボ)
・円香(現代魔女、アーティスト)
・山本浩貴(小説家、デザイナー、批評家、編集者、いぬのせなか座主宰)
・涌井智仁(美術家、音楽家、WHITEHOUSEディレクター・キュレーター)
開催概要
開催日時:2025年10月1日(水)〜10月12日(日)11:00〜19:00頃(予定)
※参加者に向けた事前説明会(Day0)を9月9日(火)に実施します。
成果発表:10月12日(日)
成果展示:10月15日(水)〜10月19日(日)
会場:東京芸術劇場 アトリエウエスト、ギャラリー2
プログラム・カリキュラム(予定・随時更新)
Day0 – 9月9日(火)19:00〜20:00 会場:オンライン
ディレクター紹介
プログラム紹介
講師の紹介
Day1– 10月1日(水)
イントロダクション
参加者活動紹介
レクチャー&ハンズオン・ワークショップ(講師:篠田千明、岸裕真)
【一般公開】基調講演 ※詳細後日発表
Day2– 10月2日(木)
レクチャー&ハンズオン・ワークショップ(講師:江口正登、中井悠、ゴッドスコーピオン)
ディスカッション
【一般公開】基調講演 ※詳細後日発表
Day3– 10月3日(金)
ファシリテーター活動紹介
ラピッドプロトタイピング(講師:JACKSON kaki、円香、山本浩貴、涌井智仁)
Day4– 10月4日(土)
ブレインストーミング
グループワークによる共創
【一般公開】基調講演 ※詳細後日発表
Day5– 10月5日(日)
グループワークによる共創
オープンダイアローグ
Day6〜Day9– 10月7日(火)〜10月10日(金)
クリエーション
Day10– 10月11日(土)
リハーサル
10月12日(日)
【一般公開】成果発表
10月15日(水)〜10月19日(日)
【一般公開】成果展示



応募要項
応募受付期間:2025年7月23日(水)〜8月31日(日)
募集人数:20名程度
年齢不問
応募要件:
・会期中のすべてのカリキュラムに参加可能であること。
・研究や創作活動等の実績を有すること。
・今後の活動目標や活動計画を有すること。
参加対象者:
・誰かと一緒に何かを創りたいと考えている方
・演劇や音楽、デザイン、テクノロジー、その他さまざまな分野のアーティストやクリエイター
・現在創作活動を行っていて、テクノロジーを取り入れて新しい表現に挑戦したい方
・未知の舞台芸術作品の創作にチャレンジしたい方
・分野の枠を超えた新しい表現や実験的創作に挑戦したい/関心のある研究者、学生
・育児、闘病、介護などの理由から一旦創作活動から離れていて、久しぶりに活動を再開したいと考えている方
など
選考基準:
応募内容をもとに主催者にて選考を行い、参加者を決定します。
選考結果の通知:
2025年9月6日(土)(予定)に応募者のメールアドレス宛にご連絡します。
応募方法:
申込フォームにてお申し込みください。
もしくは、件名を「未来提案型キャンプ応募」とし、本文に以下の内容を明記の上、メールにてccbt@rekibun.or.jpまでお送りください。
【記載事項】※ は必須にて記載ください。
・氏名(ふりがな)(※)
・年齢(※)
・居住都市(※)
・メールアドレス(※)
・職業・所属先(※)
・専門分野・領域(下記よりお選びください/複数回答可)その他を選ばれた方は別途ご記入ください(※)
(アート、演劇、デザイン、エンジニア、音楽、教育、宗教学、人文学、環境学、哲学、その他)
・未来提案型キャンプに興味を持った理由、挑戦したいこと(ご自身の欲望を踏まえて自由にご記入ください)(※)
・未来提案型キャンプ参加にあたり希望する情報保障支援、サポートがあれば記載ください。
例:手話通訳、文字通訳
・このほか、ご自身の活動を紹介するポートフォリオ、映像資料、ウェブサイトやGithubなどがあればリンクを記載ください。
スタッフ
プログラム・ディレクション
伊藤隆之(CCBT)
ドラマトゥルク
木村悠介(&Co.)、羽鳥嘉郎(秋の隕石)
プログラム・マネジメント
伊藤遥(CCBT)、鹿島萌子、寺田凜(秋の隕石)、半澤裕彦(秋の隕石)
テクニカル・ディレクション
三浦大輝(arsaffix)
テクニカル・スタッフ
イトウユウヤ(arsaffix)、稲田駿平(CCBT)、乙戸将司(CCBT)、平瀬ミキ(arsaffix)
運営
一般社団法人オノコロ
舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」

豊島区池袋の東京芸術劇場を中心に、2025年10月1日より11月3日まで開催する国際的な舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」。演劇作家・演出家・小説家・チェルフィッチュ主宰の岡田利規がアーティスティック・ディレクターを務め、あらゆる人々に対して広く開かれた国際的な舞台芸術祭となることをめざす。今、ここ、にある日本と世界の舞台芸術表現が、より身近なもの、自分と直接接続し腑に落ちるものとして捉えられるような、さまざまな現実の姿に気づき新たな視点でこの世界を捉え直すことができるような機会を創り出す。2025年は、国内・海外の多様な舞台芸術作品14演目による「上演プログラム」、レクチャーやワークショップなどの「上演じゃないプログラム」、その両方を支える「ウェルカム体制(=来場サポートのこと)」の3つを展開する。
主催:東京舞台芸術祭実行委員会〔東京都、東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)〕
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(国際芸術交流))|独立行政法人日本芸術文化振興会
協賛:アサヒグループジャパン株式会社
メディアパートナー:Tokyo Art Beat
協力:豊島区、西武鉄道株式会社、東武鉄道株式会社
