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CCBT Meetup

交差する、身体/ジェンダー/イメージ/テクノロジー:Cyberfeminism Indexにみる多義的な実践と理論

2023.11.25(土)
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
 
開催日時
2023年11月25日(土)13:00-19:00(12:30開場)
会場
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
定員
90名(事前申込不要・先着順)
参加費
無料
情報保障支援
日英同時通訳

多様な地域・立場・地位のアーティストや研究者、アクティビストたちによる、人間のアイデンティティの新たなあり様を模索するプロジェクトや活動、作品等を網羅する「Cyberfeminism Index」。
本プロジェクトの実践を日本で初めて総合的に紹介するレクチャー&シンポジウムを開催。

アート、テクノロジー、デザインの国際的なシーンにおいて話題となっているオンライン展覧会/書籍によるプロジェクト「Cyberfeminism Index(サイバーフェミニズム・インデックス)」。本プロジェクトの企画者・著者であり、デザイナー/研究者のミンディ・セウ氏の来日にあわせ、CCBT Meetupを開催します。本イベントでは、日本社会における芸術や技術をフェミニズムや技術史の観点から考察しながら、「Cyberfeminism Index」の実践を日本で初めて総合的に紹介します。アートとデジタルテクノロジーを通じた創造活動を参照することで、これまで見落とされてきた作品や文脈を再発見するとともに、ジェンダーの差異を超越したイメージ・言説に出会う機会を創出します。

「Cyberfeminism Index」は、アメリカ・ニューミュージアムにあるインターネットをベースとしてデジタルアートの作品保存やオンラインアーカイブ、展覧会を行う組織Rhizome(ライゾーム)との共同のオンライン展覧会であり、書籍でもあります。ここで言われる「サイバーフェミニズム」とは、芸術や科学にあるジェンダー的な枠組みへの対抗や、インターネット環境で展開・普及するフェミニズムの運動だけには留まりません。1985年に発表されたダナ・ハラウェイによる論文「サイボーグ宣言」は、機械と生物との複合体「サイボーグ」から、自然と文化、公的と私的、男性と女性といった二項対立からの逸脱と、これらを超越した世界、社会への変革を促しました。以降、「サイボーグ宣言」は、ジェンダー論のみならずエンターテインメントやアートシーンにまで多大な影響を及ぼし、とりわけ、オンライン・プラットフォーム上には、この概念を表象するかのような様々な作品や活動が現ました。「Cyberfeminism Index」は、こうしたオンライン上に展開された学術論文や社会運動、アートプロジェクト、ネットアートやニューメディアアートなどの700以上もの様々な実践を収録し、現在もなお更新され続けています。そこには、人間の性差を超えたアイデンティティや身体のイメージについての、より多様な人々による語りと実践が見えてきます。


「交差する、身体/ジェンダー/イメージ/テクノロジー:Cyberfeminism Indexにみる多義的な実践と理論」開催にあたって
キュレーション:水品マミ


「Cyberfeminism Index」は、2020年にインターネット上のプロジェクトとして公開されました。2022年には書籍版『Cyberfeminism Index』が刊行され、これまで世界各地で刊行記念ツアーを実施しています。今回のレクチャー&シンポジウムはこうしたツアーの一部であり、日本におけるCyberfeminism自体の紹介・導入も目的としています。
特筆すべきは、このインデックスの内容が複数の専門家やウェブページ訪問者の手を借りながら集められており、収集方針にも西洋中心からの脱却が掲げられている点です。こうした進め方はフェミニズムへの批判などを踏まえており、結果として、多様な例を収録することにつながっています。また、収録されている例は分野も異なるものが多く、アートを中心に、アクティビズム、ダナ・ハラウェイの「サイボーグ宣言」をはじめとするマニフェストや理論、そしてそうした言説に対する批判まで収録されているのも特徴です。
インデックスのイントロダクションでミンディ・セウが書いているように、「Cyberfeminism Index」はフェミニズムのみを扱うものではなく、テクノロジーのみに焦点をあてるものでもありません。個々の実践は現実の諸問題と関連し、簡単に一つの定義に収束できません。今回はそうした未完で不完全で変異が起こり続けるところから、話を始めます。

Photography by HarryGriffin

https://cyberfeminismindex.com/


開催概要

交差する、身体/ジェンダー/イメージ/テクノロジー:Cyberfeminism Indexにみる多義的な実践と理論

日時:2023年11月25日(土)13:00-19:00 (12:30開場、途中休憩あり)
定員:90名(事前申込不要・先着順)
登壇:

Mindy Seu(デザイナー、テクノロジスト)
Melanie Hoff(アーティスト、エデュケーター)
四方幸子(キュレーター、批評家)
高橋さきの(翻訳者)
布施琳太郎(アーティスト)
水品マミ(インディペンデントキュレーター、アートコーディネーター)

タイムライン

13:00-13:05 イントロダクション

13:05-16:40

[第1部]来たるべき「過去」のためのミートアップ

  • レクチャー1「Cyberfeminism Index―揮発し浮遊する、見えない身体について」
    スピーカー:水品マミ
  • レクチャー2「Cybernetics of Sex―セックスとジェンダーの表象と実践」※タイトルが変更になりました(11月8日)。
    スピーカー:Melanie Hoff *オンライン登壇
  • レクチャー3「現場としての『からだ』、結節点としての『からだ』」
    スピーカー:高橋さきの
  • レクチャー4「ネットワークのなかの恋人たち:身体・性・実在の三十年」
    スピーカー:布施琳太郎
  • Q&A

17:00-19:00
[第2部]「Cyberfeminism Index」から考える、これからのアート/デザイン

  • 講演「Cyberfeminism Index Performative Reading」 
    スピーカー:Mindy Seu
  • ディスカッション/Q&A
    パネリスト:Mindy Seu、四方幸子、高橋さきの、布施琳太郎、水品マミ
MindySeu氏アーティスト写真
撮影:Alexa Viscius

Mindy SeuMindy Seu

デザイナー、テクノロジスト

ニューヨークを拠点に活躍。ニュージャージー州立大学ラトガーズ校メイソン・グロス芸術学校では助教授、イェール芸術大学では批評家として教鞭を執る。アーカイブプロジェクト、テクノロジー分野に関する執筆、パフォーマンス型講義、デザイン制作など、幅広く活動。最新の著作では、フェミニスト経済、メタバースの歴史的先駆者、インターネットの物質性に関する研究を発表している。Rhizomeの委託を受け進行中の「Cyberfeminism Index」」では、30年にわたるオンラインアクティビズムとネットアートを収集し、ニュー・ミュージアムで発表、グラハム財団の助成金を授与された。ハーバード大学デザイン大学院のデザイン修士号、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のデザインおよびメディア・アートの学士号を取得。

https://mindyseu.com

Melanie HoffMelanie Hoff

アーティスト、エデュケーター

School for Poetic Computation (SFPC)の共同ディレクターであり、Hex Houseの共同設立者。階級と権力が交差するシステムによって形成される私たち自身に対して、誠実さや詩的なあり方、調和を促す学びと感性の場づくりに努めている。ハッキングとパフォーマンスによって制度の不条理を表現し、それらが私たちの生き方や選択肢に符号化されたかたちでどのように作用するのかを明らかにする。SFPC、イェール大学、ニューヨーク大学で講師を務め、性とテクノロジー、社会サイバネティクスを教える傍ら、ニュー・ミュージアム、クイーンズミュージアムなどで作品を発表。

https://www.melaniehoff.com
四方幸子氏ポートレート写真

四方幸子Shikata Yukiko

キュレーター、批評家

「対話と創造の森」アーティスティックディレクター。美術評論家連盟会長。多摩美術大学・東京造形大学客員教授、武蔵野美術大学・IAMAS・國學院大学大学院非常勤講師。「情報フロー」という世界観から、1990年代より諸領域を横断する先進的な展覧会やプロジェクトを多く実現。国内外の審査員を歴任。著著に『エコゾフィック・アート――自然・精神・社会をつなぐアート論』(2023年、フィルムアート社)、共著多数。

http://yukikoshikata.com
高橋さきの氏ポートレート写真

高橋 さきのTakahashi Sakino

翻訳者

1957年東京都生まれ。お茶の水女子大学非常勤講師。東京大学農学系研究科修士課程修了。科学技術論・ジェンダー論分野の翻訳・評論多数。ダナ・ハラウェイの訳書に『猿と女とサイボーグ』(2000年、青土社)、『犬と人が出会うとき』(2013年、同前)、論文訳に「人新世、資本新世、植民新世、クトゥルー新世」(『現代思想』、2017年12月号)などが、他の書籍収載論文に「<生きもの>だと宣言すること―今日的サイボーグ状況をめぐって」(2016年、岩波書店)、「グラフを見たら疑え――専門家」が誘導する非科学」(2017年、論創社)などがある。

布施琳太郎氏のアーティスト写真
撮影:竹久直樹

布施 琳太郎Fuse Rintaro

アーティスト

1994年生まれ。iPhoneの発売以降の都市で可能な「新しい孤独」を、絵画や映像作品、ウェブサイトの制作、批評や詩などの執筆、展覧会企画などを通じて実践。主な個展に「新しい死体」(2022年、PARCO Museum Tokyo)。主な展覧会企画に「隔離式濃厚接触室」(2020年、ウェブページ)、「惑星ザムザ」(2022年、小高製本所跡地、東京 )。その他、金沢21世紀美術館やNTTインターコミュニケーションセンター、各地の芸術祭などで作品を発表。2023年11月、PARCO出版より詩集『涙のカタログ』を刊行予定。

水品 マミMizushina Mami

インディペンデントキュレーター、アートコーディネーター

国内外で展覧会やイベントを企画・実施するほか、国際芸術祭や美術館などの文化施設に勤務。日本の大学でメディアアートや作品分析を学び、その後、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジにてMFA Curating(修士)を修了。社会、技術、芸術、そして個人の感情や権利が重なる領域(バイオアート、アクティビズム、ハクティビズム、クィアな芸術実践)を専門とする。現在は「Cyberfeminism Index」関連のイベントや、ロンドンとベルリンを拠点に活動する作家の展覧会を来年2024年に企画中。同時代の国内外の理論、作品、アーティストをつなぐ活動を積極的に行う。

主催
東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]

※出演者やプログラム内容は、変更・中止になる場合がございます。
※本プログラムにおけるMindy Seu氏の来日や登壇者の出演等は小笠原敏晶記念財団の助成により行われます。
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