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トーク(Meetup)

柴田祐輔+Token Art Centerトーク「自然は可能か?」

2025.01.31(金)
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
 
開催日時
日時:2025年1月31日(金) 13:30~16:00
会場
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
観覧料
無料
事前申込
不要

2024年度 CCBTアーティスト・フェローである柴田祐輔+Token Art Centerによるプロジェクト「続・ 代替屋」に関連し、農業史や食の思想史を専門に、『分解の哲学』の著者としても知られる藤原辰史氏による講演とアーティストを交えたクロストークも開催。食のテクノロジーを歴史から紐解きながら、「私たちが農産物などの食材に持つ「自然」「不自然」のイメージはどこから来たのか」という問いを考えます。

私たちが農産物などの食材に持つ「自然」「不自然」のイメージはどこから来たのか?
『分解の哲学』の著者・藤原辰史氏をゲストに、食のテクノロジーを紐解きながら、現代における「食べること」を考える。

CCBTアーティスト・フェローの「柴田祐輔+Token Art Center」は、渋谷周辺の文化や歴史や、高度に都市化され田畑のない渋谷周辺における代替食材のリサーチなどを通して「今、どう食が揺れているか」を探り、その成果を体験型パフォーマンス作品として2025年2月に発表予定です。これまでに「渋谷昆虫採取試食ワークショップ」(2024年11月)、ワークショップ「渋谷雑草栽培入門」(2024年12月)を開催してきましたが、このたび第3弾とイベントとしてトーク「自然は可能か?」を開催します。なお、ワークショップやトークを通じたリサーチの結果は、本プロジェクトの特設ウェブサイト(2月公開予定)や成果展示として発表予定です。

本トークイベントでは、農耕文化の始まりから存在していた品種改良から最近の遺伝子組み換え技術まで、食のテクノロジーを歴史から紐解きながら、「私たちが農産物などの食材に持つ「自然」「不自然」のイメージはどこから来たのか」という問いを考えます。
農業史や食の思想史を専門に、『分解の哲学』の著者としても知られる藤原辰史氏による講演と併せ、アーティストを交えたクロストークも開催。誰にとっても身近な「食」を、テクノロジー、歴史、そしてアートからどう捉えられるのか?参加者の皆さんと考えます。

■開催概要
柴田祐輔+Token Art Center トーク「自然は可能か?」
日時:2025年1月31日(金) 13:30~16:00
ゲスト:藤原辰史(京都大学人文科学研究所准教授)※オンライン出演
登壇者:柴田祐輔、秋葉大介(Token Art Center)、伊藤隆之(CCBT)
会場:シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
※事前申込不要


<予定>
13:3013:40 イントロダクション
13:4014:40 藤原辰史氏 基調講演「制度の自然化―「生きもの」をめぐる政治について」
14:4014:50 休憩
14:5015:40 クロストーク
15:4016:00 質疑応答

<本トークについて> 柴田祐輔+Token Art Center
「続・代替屋」プロジェクトのリサーチの一環として、2024年12月にワークショップ「渋谷雑草栽培入門」を行い、原種としての雑草を扱うことで品種改良された野菜との差異などを考えました。本トークイベントは上記ワークショップの延長にあり、遺伝子組み換え技術を含む品種改良技術を主な議題としています。
ゲストにお招きする歴史学者の藤原辰史さんは、品種改良の定義について著書の中で以下のように述べられています。

遺伝学の教科書によれば、育種、すなわち品種改良とは、「生物を遺伝的に改良して、新しい品種を作成すること」である(鵜飼保雄『植物育種学―交雑から遺伝子組換えまで』二〇〇三年)。植物や動物を人類にとって育てやすく、また、食べやすく改良する技術は、遺伝学が発展する二〇世紀の専売特許ではない。農耕を始めた私たちの祖先の、野生のイネ科の作物から粒が落ちにくいものを選んでその粒を来年に播く、という行為だけですでに、遺伝的な改良である。粒が落ちにくければ、刈り取りやすく、収量も増える。これは、明らかに「品種改良」である。それゆえ、品種改良は、人類が農業を廃業しない限り、人類の生命を支える根源的な行為であり続ける。藤原辰史『稲の大東亜共栄圏―帝国日本の〈緑の革命〉』二〇一二年

品種改良は人間の根源的で「自然」な営みである一方で、現代を生きる私たちは人為的な、あるいは「反自然」的な方法で作られる食物を嫌う、どこか歪な「自然」像を持っているように思います。自然由来の食物を求めながら、本来不揃いであるはずの野菜には均一な形を求め、野菜につく害虫は徹底的に排除する。私たちが生きものに投影する自然さ、不自然さはどこからくるのでしょうか。そして、技術文化史としてみれば、品種改良は社会構造や心理構造と密接に関係していることから、統治の手段として用いられ、飢餓と飽食が同居する現代の「不自然な」世界を支えてもいます。
本トークイベントでは、「不自然な」現代の都市において、「自然さ」をどう認識することができるのか、またその二項対立を超えて現代において食べるとはどういうことかを考えてみたいと思います。
                                             

写真:伴智一

藤原辰史

農業史、食の思想史/京都大学人文科学研究所准教授

1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史、食の思想史。生態系の中に組み込まれた人間の在り方から、現代史を再構築する試みを続けている。また、新聞・雑誌のコラムの連載や、「パンデミックを生きる指針」(B面の岩波新書、2020年)や『中学生から知りたいウクライナのこと』(ミシマ社、2021年)、『中学生から知りたいパレスチナのこと』(ミシマ社、2023年)など時事問題にも積極的に発言をしている。『分解の哲学』(青土社、2019年)でサントリー学芸賞、『給食の歴史』(岩波新書、2018年)で辻静雄食文化賞、『ナチスのキッチン』(共和国、2016年)で河合隼雄学芸賞、また、ナチスの食研究全般に対して日本学術振興会賞を受賞。他にも、『カブラの冬』『食べることとはどういうことか』『歴史の屑拾い』『植物考』など多数。


CCBT「アート・インキュベーション・プログラム」とは

CCBTのコアプログラムのひとつである「アート・インキュベーション」は、クリエイターに新たな創作活動の機会を提供し、そのプロセスを市民(シビック)に開放することで、都市をより良く変える表現・探求・アクションの創造を目指すプログラムです。公募・選考によって選ばれる5組のクリエイターは、「CCBTアーティスト・フェロー」として、企画の具体化と発表、創作過程の公開やワークショップ、トークイベント等を実施し、CCBTのパートナーとして活動します。
詳細ページ:CCBT「アート・インキュベーション・プログラム」

柴田 祐輔Shibata Yusuke

アーティスト

1980年福岡県生まれ。2007年武蔵野美術大学大学院美術専攻版画コース修了。現実世界の曖昧さや不確かさに着目し、映像・写真・オブジェなど様々なメディアを使ったインスタレーションを国内外で発表。2019年には東南アジア6カ国でビデオに関するリサーチを行った。近年、「大衆割烹 代替屋 -Culture Dish-」(2023年、やひろ食堂、東京)、「ニュー本場」(2023年、ya-gins、群馬)、「指入鮨」(2022年、フィンガーインザスープ、東京)など、食に関係するプロジェクトを行なっている。

http://yusukeshibata.com

Token Art CenterToken Art Center

2019年より東京都墨田区でアートセンターを運営。コマーシャルで扱いにくいプロジェクトベースの作品やインスタレーション作品を手がけるアーティストの展覧会を積極的に行っている。美術館やギャラリーではなく開かれた街中の公園や河川、工場、プラネタリウムなどでも展覧会、イベントを企画、開催している。また、ホワイトキューブ以外のスペースでの作品の成立や受容に関心を持ち、社会の中での新たな芸術のあり方を模索している。

http://token-artcenter.com
主催
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]