ホーム / イベント / 都市は、想像力を要求する。─CCBTで「つくる」こととは
オープニングトーク

都市は、想像力を要求する。─CCBTで「つくる」こととは

2025.12.13(土)
LIFORK HARAJUKU(渋谷区神宮前一丁目14番30号 WITH HARAJUKU 3F)
 
開催日時
2025年12月13日(土)15:30〜17:00(開場:15:15)
会場
LIFORK HARAJUKU(渋谷区神宮前一丁目14番30号 WITH HARAJUKU 3F)
定員
80名
参加費
無料
事前申込
事前予約制 ※先着順
申込受付期間
2025年11月13日 14:00〜 ※上限に達し次第受付終了
情報保障支援
文字情報支援(UDトーク)やサポートを希望される方は、予約フォームにご記入、またはCCBT問い合わせ先までご連絡ください。

登壇者:上田麻希(嗅覚アーティスト)、岸裕真(アーティスト)、土井樹(音楽家、複雑系研究者、 Alternative Machine Inc. シニアリサーチャー)、藤嶋咲子(アーティスト)、山内祥太(アーティスト)
モデレーター:SIDE CORE(アーティストコレクティブ)

2025年度アーティスト・フェロー上田麻希、岸裕真、土井樹、藤嶋咲子、山内祥太が、活動テーマ「これからのコモンズ」を思考するそれぞれのプロジェクトについて紹介するとともに、2022年度フェローでリニューアル特別展を飾るSIDE COREをモデレーターに迎え、アーティストをはじめとする「つくり手」と「これからのCCBT」による協働が、社会に果たしうる役割についてディスカッションします。

CCBTでは、原宿への移転・リニューアルオープンに際して、アーティスト、デザイナー、研究者、技術者、文化従事者、市民──多彩な立場を有する人々が集う場を創出し、世界や都市の動向を参照しながら、共創のための足がかりを検討するオープニングトークを開催します。

CCBTを象徴するプログラム「アート・インキュベーション」では、2022年度の開設以来、2024年度までに全15組のアーティスト・フェローと協働し、「想像力」を起点に都市・東京を舞台とした多彩なプロジェクトや表現を生み出してきました。こうして生まれた作品や取り組みは、東京に留まることなくCCBTから異なる都市、さらには世界へと紹介されています。

本オープニングトークでは、2025年度の活動テーマ「これからのコモンズ」を思考する意欲的なプロジェクトを展開するアーティスト・フェロー上田麻希、岸裕真、土井樹、藤嶋咲子、山内祥太が登壇し、それぞれの活動を紹介します。さらに、モデレーターには2022年度アーティスト・フェローでリニューアル特別展を飾るSIDE COREを迎え、都市空間や社会的制度、日常の「当たり前」に想像力をもって切り込む可能性や、それらのアクションが都市やそこに住む人々にもたらす変容についてディスカッションします。

これらを通じて、アーティストをはじめとする「つくり手」と「これからのCCBT」による協働が、社会に果たしうる役割を共に考えます。

アクセス

LIFORK HARAJUKU(渋谷区神宮前1-14-30 WITH HARAJUKU 3F)

原宿駅東口より徒歩1分、明治神宮前〈原宿〉駅2番出口より徒歩1分

2025年度アーティスト・フェローによるプロジェクト

上田麻希「Olfacto-Politics: The Air as a Medium(嗅覚の力学 〜メディウムとしての空気〜)」

匂いを手がかりに「コモンズとしての空気」について学び、見えない空気を見える化・体験化する複合プロジェクト。レクチャー・ワークショップからなる学びの場の創出、極めて主観的な感覚である嗅覚をテクノロジーで測ることで嗅覚世界を可視化するリサーチ、空気の循環を表現する空間作品を制作・発表する三つのフェーズから成る。人間を含む全ての生物が多種多様な情報をやりとりしている「空気」から、生物多様性やバイオームへの思考を促し、世界を捉える新たな視点を生み出すことを目指す。

岸裕真「平行植物園」

植物的視点から現代の人工知能(AI)を捉え直した、「植物知性(BI・Botanical Intelligence)」を開発するプロジェクト。光・風・土壌などの多元的な環境データを精緻にセンシングし、テキストや音声を出力する「生成BI」の実装を通して、人間・人間以外が共に繁栄できる「コモンズ」の開拓を目指す。完成したシステムはインスタレーション作品として植物園などにおいて公開するほか、研究開発の過程では専門家との協働や、オープンレクチャー、ワークショップ等の開催を予定。CCBTを拠点に、すべての存在にとっての共有資源である自然から思考し、新しい共栄地帯を発見することに挑む。

土井樹「Weather」

風の流れ、気温、照度など、微細な環境変化を捉えるセンサーを市民とともに創作し都市に設置することで、従来の気象庁などによる広域データでは捉えられない「微気候(microclimate)」を収集し、オープンデータとして公開。さらに収集したデータを音・光・風などの知覚体験に変換するシステムを開発し、これを用いたインスタレーション作品を発表する。プロジェクトを通じて、言語やイメージに偏ったデジタル社会において、人間の身体性に根差した「別種の知」を取り戻すことを試みる。
https://cotofu.com/weather/

藤嶋咲子「コエノクエスト —都市に残されたセーブデータ」

都市に埋もれた声を可視化し、これまで交わることのなかった他者との対話の場を生み出すことで、世界の見え方に揺らぎを与えるゲーム作品を制作するプロジェクト。ゲーム内に登場するアバターは、実在する都市生活者の語りをもとに生成され、プレイヤーはその営みや痛みに触れながら、自身の輪郭の外側にある価値観や生き方に出会っていく。体験はインスタレーションとして展開され、記録された対話のログは再編集のうえ公開される。年齢、性別、国籍、経済状況、思想などに起因する分断を背景に、すれ違う声が交差する状況から、新たなコモンズの可能性をひらく手がかりを探る。

山内祥太「未知との遭遇」

「未知なるものとは何か」という問いを出発点に、言語の枠組みに依存しない、ヒューマノイドと人間のあいだに生まれる新たなコミュニケーションの形を構想するプロジェクト。インスタレーション作品として屋外での発表を予定しており、「未知」との遭遇――すなわち「新たな自然」との出会いを試みる。作家自らによるデモンストレーションやレクチャーを通じて制作過程は広く公開され、ともに未知なるもの(未来)について想像することから、プロジェクトを通じて「これからのコモンズ」をかたちづくる想像力を養う。

上田麻希Ueda Maki

嗅覚アーティスト

2005年以来、嗅覚とアートの融合を試み、匂いをマテリアルとした作品を発表。欧米の嗅覚アート界の先駆者的アーティストのひとりとなる。2009年よりオランダ王立美術大学など世界各地にて教鞭を取り、多くの嗅覚アーティストを輩出。世界的な嗅覚アートの殿堂、アート・アンド・オルファクション・アワード・エキスペリメンタル・カテゴリーに5回連続ノミネート。2022年には最優秀賞を受賞。令和6年度文化庁長官表彰。現在は石垣島に嗅覚アート研究所を構え、嗅覚教育や嗅覚ツーリズムに取り組む傍ら、世界各地で展示やワークショップを展開する。

撮影:手塚 なつめ

岸裕真Kishi Yuma

アーティスト

AIを「Alien Intelligence(エイリアンの知性)」と捉え直し、人間とAIによる創発的な関係「エイリアン的主体」を掲げて、自ら開発したAIと協働して絵画、彫刻、インスタレーションの制作を行う。2023年よりほぼすべての制作において、AIモデル「MaryGPT」がキュレーションを担当。主な活動として、個展「Oracle Womb」(2025年、 √K Contemporary)、参加展覧会「DXP2」(2024年、 金沢21世紀美術館)など。受賞歴に「CAF賞2023」入選など。主な著書に『未知との創造:人類とAIのエイリアン的出会いについて』(誠文堂新光社)がある。

土井樹Doi Itsuki

音楽家、複雑系研究者、Alternative Machine Inc. シニアリサーチャー

社会性生物の群れの同期現象などをテーマに研究を行うとともに、 人工システムを含む「他者」が持つ固有の経験や感じ方を、その存在自身の立場から理解するための手段をテーマとして作品制作を行っている。主な展覧会に「ALTERNATIVE MACHINE」(2021年、WHITEHOUSE) 、「海の見方を忘れた」(2022年、Jinnan House)、「MONAURALS」(2023年、WHITEHOUSE)、「Harsh Listening」(2025年、LEESAYA)。主な音楽作品に『Peeling Blue』(CD、2017年)。

https://cotofu.com/

藤嶋咲子Fujishima Sacco

アーティスト

アート×ゲーム×社会問題を軸に、絵画やインタラクティブな手法を用いて、現代社会との関係性を探る多面的な表現を試みている。代表作「WRONG HERO」では、RPG的構造を通じてジェンダーや社会的役割に潜むステレオタイプを問い直し、鑑賞者を“プレイヤー”として巻き込む批評的体験を構築。仮想空間で声を集め、現実の「出来事」として立ち上げた「バーチャルデモ」では、鑑賞者の主体性とともに、現実と仮想の境界そのものを揺さぶっている。

撮影: Saito Seichi

山内祥太Yamauchi Shota

アーティスト

1992年生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。自己と世界との関係性や、現実と空想の裂け目を探る表現を試みている。映像、彫刻、パフォーマンスに加え、近年では「匂い」を用いたインスタレーションなど、多様なメディアを横断しながら制作を行う。

photo: Shin Hamada

SIDE CORESIDE CORE

2012年より活動を開始、東京都を拠点に活動。メンバーは高須咲恵、松下徹、西広太志。映像ディレクターは播本和宜。個人がいかに都市や公共空間のなかでメッセージを発するかという問いのもと、ストリートカルチャーの思想や歴史などを参照し制作する。ときに他ジャンルの表現者を交えたプロジェクトとして、 都市の死角や隙間となる場所で多彩な作品を展開。近年の展覧会に「Living road, Living space / 生きている道、生きるための場所」(2025年、金沢21世紀美術館)、「SIDE CORE展|コンクリート・プラネット」(2024年、ワタリウム美術館+屋外、東京)、「百年後芸術祭」(2024年、千葉、木更津市/山武市)、「第8回横浜トリエンナーレ『野草:いま、ここで生きてる』」(2024年、横浜市)ほか。

https://www.instagram.com/side_core_tokyo/
企画・制作
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
主催
東京都、シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT](公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)