演劇とテクノロジーをテーマに、交流と協働制作を通じて未来に向けた新たな「演劇」の提案を目指す未来提案型キャンプ「Future Ideations Camp Vol.7:Super Sober Shamanism」。それに関連し、国内外のアーティスト、研究者を招く基調講演を全3回で開催!
国内外で活躍するアーティスト3組を迎え、それぞれの活動から「同期・共在・模倣」に迫ります。
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]では、第7回目となる未来提案型キャンプ「Future Ideations Camp Vol.7|Super Sober Shamanism:同期・共在・模倣を演劇とテクノロジーの両岸から考える」を、10月1日より東京・池袋で開催される舞台芸術祭「秋の隕石」との共同企画プロデュースで実施します。演劇とテクノロジーをテーマに、アバター、シミュレーション、没入型環境といったテクノロジーを通じて、身体化された経験、儀式、パフォーマティブな実践がどのように再構築され得るかを探り、新たな「演劇」の提案を目指す本プログラム。それに関連し、一般公開イベントとして基調講演を開催します。
第1回目の基調講演には、新進気鋭のメディアアーティスト、テオ・トリアンタフィリディス氏が、第2回には、デジタル・メディアやパフォーマンス、音楽、インスタレーションなど複数の表現形態を横断して作品を制作するアーティストでありリサーチャーのエレナ・ノックス氏が、第3回には、台湾を拠点に活躍するアーティストコレクティブ・lololol(ロロロル)からシァ・リン氏とシェリル・チャン氏が登壇します。
いずれの講演でも、演劇とデジタル技術の交差点における最新の作品事例や、身体性とテクノロジーのあいだで生まれる新たな表現手法について、登壇者ならではの実践的な視点からご紹介いただきます。
この貴重な機会にぜひご参加ください。
【基調講演01】
テオ・トリアンタフィリディス「制御なきシステム:テオ・トリアンタフィリディスによるアーティスト・トーク」
日時:2025年10月1日(水)19:30~21:00(開場:19:15〜)
登壇(オンライン):テオ・トリアンタフィリディス Theo Triantafyllidis (アーティスト)
要申込/日英同時通訳、手話通訳(日本語-日本手話/東京芸術劇場会場のみ)、文字情報保障(UDトーク)
テオ・トリアンタフィリディスは、解読しきれない演技的なシステムを実践の中で構築します。それらのシステムは、つかえながら溢れ出し、ときには自らの軌道を遡るような作品群です。本トークでは、彼の近作である《Feral Metaverse》《Anti-Gone》《BugSim (Pheromone Spa)》をはじめ、制作中の実験や舞台裏の様子を交えながら、シミュレーションをスペクタクルではなく舞台として捉える実践を紹介します。
トリアンタフィリディスが作り出すのは、エンジンが停止し、アバターが台本から飛び出し、物理法則が人格を持ち始めるような、気まぐれで手続き的な世界です。彼は、きれいに整理されたインタラクションを設計するのではなく、不安定な関係性を育てるのです。そこでは、生き物やプレイヤー、そしてネットワークやアルゴリズムが不確定な「ライブ性」の中に閉じ込められているのです。ユーザー中心の設計ではなく、互いに誤認し合う詩学において成立する空間です。
彼の実践から現れるのは、不安定な存在論のためのリハーサル空間です。それは、LANパーティーや熱にうなされた夢、そして将来失敗に終わるであろう通し稽古のあいだにあるような世界。そこでは、テクノロジーは最適化されるものではなく、身体化されるのです。親密で、漏れやゆらぎを含みながら半ばまとまり、ときに見事に洗練された世界なのです。
テオ・トリアンタフィリディス(アーティスト)

【基調講演02】
エレナ・ノックス「テクネ、ダイモーン、そして未知のスーパーファクター!」
日時:2025年10月2日(木)19:30~21:00(開場:19:15〜)
登壇:エレナ・ノックス Elena Knox (アーティスト、キュレーター、リサーチャー)
要申込/日英同時通訳、手話通訳(日本語-日本手話/東京芸術劇場会場のみ)、文字情報保障(UDトーク)
なぜ人間は、芸術や工芸、技術的なスキルを使って、自分たち自身の複製を作り出そうとするのでしょうか?本トークでは、このようなシャーマニズム的なミラーリング手法に取り組む私自身や他の方々の作品群を通じ時空を旅しながら、人類が種としての根源的にもつ、宇宙全体における自らの位置を人工的に文脈づけようとする衝動から生じるのではないかという視点を提示します。これが私。これが私たち。これが私の残響。私たちは孤独なのか?あなたには、私たちが見えますか、聞こえますか、匂いがしますか、感じられますか、理解できますか。私の人生という「舞台」はなぜこれほどまでに計り知れないほど広大で、私の命はなぜこれほどまでに苦しく短いのでしょう。「制御」というものは本当に存在するのでしょうか。私は偶然の産物なのでしょうか。私が理解するには愚かすぎるのでしょうか。私は同じ存在、それとも違うものなのでしょうか。あなたは、私や私の生存を気にかけてくれますか。そもそも「あなた」はいるのでしょうか。地球から遠く離れたどこか、あるいは周囲のどこかに。
技術の先駆者たちが、人類のためにこれまで以上に精巧な道具を開発し、AIが複製された知識をもとに原初的な創造行為に応用し始める中で、私たちは依然として、自らの姿を映す安定した鏡像と、未知の現象に対する説明を求め続けています。しかし、これらの目的が両立し得るかどうかは、いまだ証明されていません。
シャーマニズムとしての芸術は、まさにこの両者を媒介するのです。
エレナ・ノックス(アーティスト、キュレーター、リサーチャー)

【基調講演03】
ロロロル「崩壊の振り付け」
日時:2025年10月4日(土)19:30~21:00(開場:19:15〜)
登壇(オンライン):ロロロル lololol(アーティスト・コレクティブ)
要申込/日英同時通訳、手話通訳(日本語-日本手話/東京芸術劇場会場のみ)、文字情報保障(UDトーク)
本トークでは、人間の身体が機械と共に生きるだけでなく、機械を通じて生きることをいかに学ぶかを探求します。
まず初めに《3C Xing Yi Quan》を紹介します。この作品は、コンピューター、通信機器、家電製品といった現代のデバイスの論理を身体に内面化することを目的とした新たな武術のかたちです。内部運動の伝統に根ざしたこの実践は、デジタル時代における心身の均衡を育むものであり、テクノロジーを受動的に使用することでも能動的に抗うことを目的とするのではなく、その動きを映し、吸収し、再構成することを目指します。
次に、《フラクタル・メモリー》では、壊れたハードドライブーーメモリ(記憶)が封じられ、いまは捨て去られた容れ物たちーの忘れられた音響に耳を傾けます。断片化されたリズムと唱和する回路音から新たな音の風景が立ち現れます。それは「崩壊の振り付け」であり、不具合がメッセージとなり、データの崩壊が「生き延びるための美学」へと変容する場なのです。
これらの作品を通して、共存と生成をめぐる瞑想を提示します。システムが破綻する一方で、新たな同調、適応、身体化のかたちが動き始めます。これらの作品は、自然・産業・電子の環境音と長期的に関わり続けてきた作家の実践の延長線上にあり、現代の生活における私の新たな宇宙的存在論を描き出します。
ロロロル (アーティスト・コレクティブ)

会場・アクセス
東京芸術劇場 アトリエウエスト
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-8-1 地下1階
JR・東京メトロ・東武東上線・西武池袋線 池袋駅西口より徒歩2分。駅地下通路2b出口と直結。
詳細:東京芸術劇場アクセス
申込方法
下記、1・2のいずれかからお申し込みください。
手話通訳者の手配の関係上、手話通訳をご希望の方は9月23日(火・祝)までにお申し込みください。
そのほか、配慮やサポートの希望等ありましたらお気軽に下記までお問い合わせください。
1)フォームから申し込む
下記、申込フォームより申し込みください。(別ページに移動します)
2)メールで申し込む
下記の必要事項を明記のうえ、件名を「Camp7基調講演 申し込み」とし、お申し込みください。
メール:event@autumnmeteorite.jp
件名:「Camp7基調講演 申し込み」
1. お名前(フリガナ)
2. ご連絡先(メールアドレス)
3. 希望する回(10月1日(水)、10月2日(木)、10月4日(土))
4. 必要なサポートがあればお知らせください。例:手話通訳等
問い合わせ先
東京舞台芸術祭実行委員会事務局
舞台芸術祭「秋の隕石」
Future Ideations Camp Vol.7担当
event@autumnmeteorite.jp
舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」

豊島区池袋の東京芸術劇場を中心に、2025年10月1日より11月3日まで開催する国際的な舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」。演劇作家・演出家・小説家・チェルフィッチュ主宰の岡田利規がアーティスティック・ディレクターを務め、あらゆる人々に対して広く開かれた国際的な舞台芸術祭となることをめざす。今、ここ、にある日本と世界の舞台芸術表現が、より身近なもの、自分と直接接続し腑に落ちるものとして捉えられるような、さまざまな現実の姿に気づき新たな視点でこの世界を捉え直すことができるような機会を創り出す。2025年は、国内・海外の多様な舞台芸術作品14演目による「上演プログラム」、レクチャーやワークショップなどの「上演じゃないプログラム」、その両方を支える「ウェルカム体制(=来場サポートのこと)」の3つを展開する。
主催:東京舞台芸術祭実行委員会〔東京都、東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)〕
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(国際芸術交流))|独立行政法人日本芸術文化振興会
協賛:アサヒグループジャパン株式会社
メディアパートナー:Tokyo Art Beat
協力:豊島区、西武鉄道株式会社、東武鉄道株式会社
