HUMAN AWESOME ERRORの福原による乳がん罹患をきっかけに開始した「Super Cell」シリーズの最終章となるプロジェクト「Super Cells Infinite」の展覧会を開催。アートを通じたナラティブと、サイエンスにある客観性が交錯する本プロジェクトでは、病院や研究機関の協力を得て、自身のがん細胞を病院から持ち出して培養する、そして同一人物から作られた再生免疫細胞と対峙させることに挑戦しており、展覧会ではこの一連のプロセスや、研究者や患者のインタビュー映像等を公開します。
2024年度 CCBTアーティスト・フェローであり、システムエラーから痛快な視点を見出す活動を続けてきた HUMAN AWESOME ERRORによる展覧会「Super Cells Infinite」を開催します。HUMAN AWESOME ERRORのメンバー福原による乳がん罹患をきっかけに2021年より開始したプロジェクト「Super Cells」は、自身ががんを認識していく渦中に生まれた「がんとは何なのか」「全ての人間が毎日のように生成するがん細胞のしくみ」といった問いを理解するプロセスであり、それらを他者と共有、オープンにするための活動です。その最終章となる「Super Cells Infinite」では、がん細胞をただ病として捉えるのではなく、その可能性や力強さに目を向け、 私たちの身体、命、そしてアイデンティティの意味を新たに考える場を創出しています。
通常は医療・研究目的に限定して保管・活用される「ヒトから摘出した細胞」をアートの目的で活用しようとするプロセスにおいて、医療や科学の領域における倫理や制度が複雑に交差していきました。本展は、このプロジェクトの経緯、関連する意見や考えを辿るものです。罹患経験者や家族など当事者たちのパーソナルな視点、そして本プロジェクトに協力いただいた研究者による科学的あるいは研究倫理の観点の両方から語られる細胞と、挑戦のプロセスから構成されます。
さらに、会期中には関連イベントとしてDIYバイオのワークショップや、再生医療などの専門家を招いたトークも開催します。
経験や感覚に基づき紡がれた個人のナラティブと、サイエンスの客観性が共存する本プロジェクトから、細胞の所有権、倫理、制度などを考察することを促します。そこから私たちの身体、命、そしてアイデンティティの意味を再考する「新しい生命観」が、立ち現れてくるのではないでしょうか。
「Super Cells Infinite」とは?
アーティスト自身のがん細胞と、血液から培養されたiPS細胞由来の再生免疫細胞を対峙させると何が起こるか?この試みをめぐる再生医療の研究者や罹患当事者とのコミュニケーションをもとに展示を構成する。また人工細胞を作るワークショップ、切り離された細胞から自己の実在性を探るトークなども実施。がんから細胞の所有権、倫理、制度などを見る。自然界・人間界のエラーを面白おかしく発見し、作品制作を通じ世界の再認識に取り組むHUMAN AWESOME ERRORによる、新しいがんの世界。
CCBT「アート・インキュベーション・プログラム」とは
CCBTのコアプログラムのひとつである「アート・インキュベーション」は、クリエイターに新たな創作活動の機会を提供し、そのプロセスを市民(シビック)に開放することで、都市をより良く変える表現・探求・アクションの創造を目指すプログラムです。公募・選考によって選ばれる5組のクリエイターは、「CCBTアーティスト・フェロー」として、企画の具体化と発表、創作過程の公開やワークショップ、トークイベント等を実施し、CCBTのパートナーとして活動します。