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アート・インキュベーション

「切り離された細胞は誰のものか」ーSuper Cells Infinite 関連トーク①

2025.01.13(月)
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
 
開催日時
2025年1月13日(月・祝)13:00〜16:00(12:45開場)
会場
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
定員
50名
参加費
無料
事前申込
不要

登壇者:塚本隆大(東京大学大学院総合文化研究科 博士課程)、樋野興夫(順天堂大学 名誉教授、一般社団法人がん哲学外来名誉理事長)、古河美夏(乳がん経験者) ホスト:蔡 海、福原志保(HUMAN AWESOME ERROR)

2024年度 CCBTアーティスト・フェロー HUMAN AWESOME ERRORによるプロジェクト「Super Cells Infinite」の関連トークを開催。
「バイオアート」「がん哲学」「芸術人類学」…さまざまな領域の実践者を迎え「がん」と細胞の所有や権利を議論します。

2024年度 CCBTアーティスト・フェローであるHUMAN AWESOME ERRORによる、生命倫理の複雑性と多様性、科学と社会が協働し、新たな生命像を構築する方法論を探るアーティスティック・リサーチ・プロジェクト「Super Cells Infinite」の関連トークを開催します。

運転免許証などで「臓器提供意思登録」を、目にしたことはありますか。脳死や心停止後、自身の身体からの臓器摘出と、他者への提供の許可・あるいは拒否の意思を示すための制度です。これはつまり、切り離された自身の身体を他者が扱うことを許可するための意思決定で、同時に「自分の体の一部は自分のものである」という、わたしたちの常識を前提としています。

しかし、この常識が適用されないケースが存在します。通常、医療・研究目的に限定して保管・活用される「人間から摘出した細胞」を、例えばアートなど例外的な目的で利用しようとすると、医療や科学の領域における倫理や制度と複雑に交差し、細胞は「自分の体の一部」という認識から外れる場合もあります。― HUMAN AWESOME ERRORのメンバー福原志保のがん細胞は、アート・プロジェクトのために取り出され、凍結保存されていますが、本人を含め誰もそれを簡単に扱えない状況があります。なぜそのようなことが起こるのか、あるいはどのような視点や立場の相違が影響しうるのか、そもそも私たちの体は私たちのものと言い切れるのか。

本トークでは、これらの問いについてがん哲学、バイオアート、芸術人類学など複数領域を跨いで活躍する専門家やがん罹患当事者を迎え、考えます。

タイムライン

13:00〜13:10 イントロダクション
13:10〜13:50 登壇者による発表「自分のがん細胞を愛せるか」
スピーカー:(各10分)
・塚本隆大(東京大学大学院総合文化研究科 博士課程)
・樋野興夫(順天堂大学 名誉教授、一般社団法人がん哲学外来名誉理事長)
・古河美夏(乳がん経験者)
・福原志保(HUMAN AWESOME ERROR)
13:50〜14:00 休憩
14:00〜15:30 クロストーク
15:30〜16:00 質疑応答

「Super Cells Infinite」とは?

アーティスト自身のがん細胞と、血液から培養されたiPS細胞由来の再生免疫細胞を対峙させると何が起こるか?この試みをめぐる再生医療の研究者や罹患当事者とのコミュニケーションをもとに展示を構成する。また細胞分裂観察ワークショップ、切り離された細胞から自己の実在性を探るトークなども実施。がんから細胞の所有権、倫理、制度などを見る。自然界・人間界のエラーを面白おかしく発見し、作品制作を通じ世界の再認識に取り組むHUMAN AWESOME ERRORによる、新しいがんの世界。

塚本隆大

東京大学大学院総合文化研究科 博士課程

東京大学大学院総合文化研究科 超域文化科学専攻(文化人類学)博士課程に在籍。東京大学大学院卓越大学院グローバル・スタディーズ・イニシアティブ 卓越リサーチアシスタント。いわゆるバイオ・アートのプラットフォームmetaPhorest のメンバーとしても、展示や研究会を実施している。近年の活動として、「metaPhorest Biome -生物学実験室におけるアートの生態系-」(WHITEHOUSE)の企画・キュレーション、寄稿「「いかに動物は語られるか 「マルチスピーシーズ民族誌」及びそれに対する批判から考える」」(表象文化論学会ニューズレター)など。

樋野興夫

順天堂大学 名誉教授、一般社団法人がん哲学外来名誉理事長

1954年、島根県生まれ。医学博士。
米国アインシュタイン医科大学肝臓研究センター、Fox Chase Cancer Center、がん研究所実験病理部長などを経て2003年から順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授に就任。2008年、がん患者と医療現場との『隙間』を埋めるべく『がん哲学外来』を開設。日本病理学賞/高松宮妃癌研究基金学術賞/新渡戸・南原賞/東京都医師会グループ研究賞/保健文化賞/日本対がん協会「朝日がん大賞」/日本癌学会「長與又郎賞」などを受賞。 主な著書に『がん哲学』、『明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい』、『がん細胞から学んだ生き方』、『なぜ、こんな目にあわなければならないのか』、『新渡戸稲造 壁を破る言葉』など多数。

古河美夏


アステリア株式会社人事/情動発現団体「歌劇派・サラスヴァティ」発起人・役員、株式会社ToposWare Japan アドバイザー(米国Polygon Labsへ売却)、バングラデシュ発のAIスタートアップ「Hishab Japan」HRアドバイザー。1996年世界初のネット上のエキスポ「IWE‘96」への参加を機にインターネットベンチャーへ。2004年株式会社ライブドアの社長(堀江貴文)秘書を経て経営企画室人事。中学時代に書いた日記が斬新だったため(横に時間軸 縦に「見る」聞く」「話す」「感じる」という表にした)文部省認可光村図書出版の現代国語の教科書に掲載。後に聾唖者の教科書「拡大図書」に。2014年乳がん罹患。治療中。常に異端パワーとの調和(ハーモニー)を意識し、ベンチャー企業や合唱、がん治療などに取り組んでいる。


CCBT「アート・インキュベーション・プログラム」とは

CCBTのコアプログラムのひとつである「アート・インキュベーション」は、クリエイターに新たな創作活動の機会を提供し、そのプロセスを市民(シビック)に開放することで、都市をより良く変える表現・探求・アクションの創造を目指すプログラムです。公募・選考によって選ばれる5組のクリエイターは、「CCBTアーティスト・フェロー」として、企画の具体化と発表、創作過程の公開やワークショップ、トークイベント等を実施し、CCBTのパートナーとして活動します。

HUMAN AWESOME ERRORHUMAN AWESOME ERROR

社会における自己証明の不確かさを発端に名付けられたHUMAN AWESOME ERRORは、システムエラーから痛快な視点を見出すコレクティブとして2019年より発足。蔡 海、福原志保を中心にプロジェクトごとにチームを組成しながら、映像、ドローイング、立体造形、インスタレーション、プロダクト、バイオテック、工芸など様々なメディアを横断しながら活動。「Super Cell」のプロジェクトでは、冷凍保存された福原志保のがん細胞をラボに移設し、培養することを目指しながら、生命倫理への問いかけや新たな免疫研究に挑戦します。2024年現在、東京と京都の2つの拠点をベースにテーマを深堀中。

企画・制作
HUMAN AWESOME ERROR
主催
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT](公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)