30年後のファッションを想像する

Future Ideations Camp Vol.8 30年後のファッションを想像する

概要

シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]では、多様な人々が協働し、アートとデジタルテクノロジーによる創作活動を行う短期集中ワークショップ「未来提案型キャンプ」を開催しています。本プログラムでは、選考を経た20名程度の参加者が、思考法を身につける講義やスキル習得のためのワークショップ、グループによる協働制作を複数日にわたって行うほか、トークイベントや成果展示なども一般公開します。

第8回目となる今回は、「ファッション」をテーマとして扱います。

ファッションは、素材の源泉である動植物から、栽培・紡績・縫製といった生産工程における労働、そして流通、消費、廃棄に至るまで、極めて広範かつ非人称なネットワークによって成立しています。衣服を単なる個人のアイデンティティの表出手段としてのみならず、多様なステークホルダーが交錯する「複合的なレイヤー」として捉え直すと、一着の服に隠れている背景を想像することができます。一着の服は、われわれの身体にもっとも身近でありながら、数多くのマクロな課題と密接に関連しているのです。

本キャンプでは、一着の服からマクロな背景を想像することを起点として、その想像力を30年後の未来まで飛躍させます。30年後、我々はどのような服を着ているのでしょうか?その服を着ている我々は、どのような社会を生きているのでしょうか?

ディレクターには、京都精華大学デザイン学部教授であり、ファッション論を専門としている蘆田裕史氏を迎えます。そのほか、エンジニアリングや人類学、更には死生観にいたるまで、多様な専門性を有する実践者を講師に迎えます。各講師によるレクチャーやワークショップを通じて、多層的なレイヤーが重なる「ファッション」を紐解きます。さらに、グループワークによる共創を通じて、30年後の社会を変容させる新たな表現を生み出すことに挑戦します。

Future Ideations Camp Vol.8:30年後のファッションを想像する
開催日:2026年8月7日(金)〜8月11日(火・祝)〈5日間〉
活動報告・成果展示:2026年8月13日(木)〜8月16日(日)
会場:シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]

ディレクターズ・ステートメント

「明⽇、あなたは何を着ますか?」——そう尋ねられたらあなたはどう答えるでしょうか。

明⽇着るものを決めるためには、まずはあなた⾃⾝の予定——オフィスで仕事をする、友⼈とテーマパークに⾏く、家でひとりでゆっくり過ごす、 などなど——を考慮する必要があります。けれども、着る服はあなたの事情だけで決まるわけではありません。学校の制服のように守らなければいけないルールに制約を受けることもありますし、とりわけ冠婚葬祭などではドレスコードに従わなければならないこともあるでしょう。さらに、天気や気温といった環境的な要因も無視できるものではありません。もっと⾔えば、あなたのワードローブにある服は、あなたの経済状況にも⼤きく依存しています。

たしかに私たちは着る服を⾃由に選べる時代にいると⾔えるのですが、私たちの選択は社会によって⼤きく左右されてもいます。ファッションにおける選択肢は、個⼈と社会のあいだで揺れ動いているのです。

では、30 年後のあなた——あなた以外の⼈でも構わないのですが——はどんなものを着ているでしょうか。服を買うのではなく⾃分で作ることがあたりまえになっているかもしれませんし、服作りの技術が進化してミシンを使わずともボタンひとつで服ができあがるようになっているかもしれません。あるいは、おしゃれに気を使うなんて価値観がもはやなくなっていることもあるかもしれません。30 年後の社会を想像することなしに、30 年後のファッションを思い描くのはきわめて困難でしょう。

今回のキャンプは、30 年後のファッションがどのようなものになっているのかを皆で考える試みです。ひょっとすると、「そういうことはファッションデザイナーが考えればいいんじゃない?」と思われる⽅もいらっしゃるかもしれません。けれども、ファッションには多様なステークホルダーが存在します。たとえば、「服を作る」ということだけ考えてみても、綿花を育てる農家、紡績⼯場の労働者、テキスタイルデザイナー、機屋の職⼈、ファッションデザイナー、パタンナー、縫製⼠などさまざまな役割を持った⼈たちが携わっています。

そして、スタイリストや写真家、編集者のようにイメージを届けることにかかわる⼈もいれば、作られた服を売る⼈もいますし、なにより着る⼈がいなければファッションは成り⽴ちません。仮にデザイナーがどんなにすばらしい提案をしたとしても、ユーザーがそれを欲しなければ世の中に広がることはありません。そういう意味では、ファッションにかかわるすべての⼈、つまりこの現代社会を⽣きるすべての⼈が想像⼒を育むことが必要です。

考え、⼿を動かし、議論しながらファッションの望ましい姿を想像するこのキャンプが、まだ名前のない未来のファッションを発明する場所になることを願っています。

蘆田裕史

成果作品

参加者

プログラムディレクター

講師・ファシリテーター

スタッフ

プログラム・ディレクション
稲田駿平(CCBT)、伊藤隆之(CCBT)
プログラム・マネジメント
原泉(CCBT)、小堀多眞恵(CCBT)
テクニカル・ディレクター
三浦大輝(arsaffix)、平瀬ミキ(arsaffix)
テクニカル・スタッフ
木村悠介(arsaffix)、田中小太郎(arsaffix)、中路景暁(arsaffix)
運営
冠那菜奈(オノコロ)、林慶一(オノコロ)、村上愛佳(オノコロ)
記録
土井美侑(CCBT)、斉藤純平
執筆・編集
脇みゆう
アート・ディレクター
山口崇多(collé inc.)
英語に関する全て
佐野明子

協力

SINA SUIEN

Spomenik

即興

HIDESIGN

HATRA

POTTO

Masakazu Furusawa

株式会社元廣

※ 50音順

主催:東京都、シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT](公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)