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アート・インキュベーション

「生き続ける細胞から揺らぐ、『個』の実在」ーSuper Cells Infinite 関連トーク②

2025.02.11(火)
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
 
開催日時
2025年2月11日(火・祝)15:00〜17:00(14:45開場)
会場
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
定員
50名
参加費
無料
事前申込
不要

2024年度 CCBTアーティスト・フェローHUMAN AWESOME ERRORによる展覧会「Super Cells Infinite」のオープニングトークを開催。わたしの細胞≠わたし」なのか。人の体を離れて生き続ける細胞を、再生医療とフィールドワークの実践から考えます。

2024年度 CCBTアーティスト・フェロー HUMAN AWESOME ERRORによる展覧会「Super Cells Infinite」のオープニングトークを開催します。

HUMAN AWESOME ERRORのメンバー福原による乳がん罹患をきっかけに2021年より開始したプロジェクト「Super Cell」は、自身ががんを認識していく渦中に生まれた「がんとは何なのか」「全ての人間が毎日のように生成するがん細胞のしくみ」といった問いを理解するプロセスであり、それらを他者と共有、オープンにするための活動です。その最終章となる「Super Cells Infinite」では、がん細胞をただ病として捉えるのではなく、その可能性や力強さに目を向け、 私たちの身体、命、そしてアイデンティティの意味を新たに考える場を創出しています。

1951年にがんで亡くなったアメリカ人女性、ヘンリエッタ・ラックスの組織由来の、不死化細胞株(長期間培養される細胞の集団)である「HeLa細胞」は、ポリオワクチンの開発から大規模ゲノム研究まで、生命科学の発展に大きく貢献してきました。つまり、HeLa細胞はラックス本人の人生よりも長く、研究という世界で生き続けているのです。
このように、細胞とは個人の体の一部でありながら、切り離し培養することで、「わたし」の想像を超えて全く新しい生を辿る可能性もあるのです。

本トークでは、「Super Cells Infinite」で2種類の細胞の作製を担った再生医療専門の金子新さんと幹細胞研究者でありSFにおける医療の描かれ方も研究する八代嘉美さんを迎えます。細胞が身体から離れて生き続けるとき、わたしたち自身も分裂しているのか、あるいは、ひとりの人間=ひとつの身体という定式は揺るがないのか、共に考えます。

タイムライン

15:00〜15:10 イントロダクション
15:10〜15:50 登壇者による発表
スピーカー:
・金子新(京都大学iPS細胞研究所 教授/筑波大学医学医療系 教授)
・八代嘉美(藤田医科大学橋渡し研究支援人材統合教育・育成センター教授)
15:50〜16:00 休憩
16:00〜17:00 クロストーク・質疑応答

「Super Cells Infinite」とは?

アーティスト自身のがん細胞と、血液から培養されたiPS細胞由来の再生免疫細胞を対峙させると何が起こるか?この試みをめぐる再生医療の研究者や罹患当事者とのコミュニケーションをもとに展示を構成する。また細胞分裂観察ワークショップ、切り離された細胞から自己の実在性を探るトークなども実施。がんから細胞の所有権、倫理、制度などを見る。自然界・人間界のエラーを面白おかしく発見し、作品制作を通じ世界の再認識に取り組むHUMAN AWESOME ERRORによる、新しいがんの世界。

金子新

京都大学iPS細胞研究所 教授/筑波大学医学医療系 教授

京都大学iPS細胞研究所・増殖分化機構研究部門 免疫再生治療分野 教授。1995年筑波大学医学専門学群卒業、2002年博士(医学)取得。日本学術振興会特別研究員、筑波大学血液病態制御医学(血液内科)講師、2005年サンラファエレ研究所(イタリア)研究員、2008年東京大学医科学研究所助教、2012年京都大学iPS細胞研究所 准教授、2020年より、現職、及び、筑波大学医学医療系・臨床医学域 がん免疫治療研究分野 教授。2013年から17年iPS細胞研究所附属細胞調製施設(FiT)施設長、2021年同研究所附属動物実験施設長、2022年から24年に同研究所副所長を兼任。iPS細胞の特性を生かした免疫再生治療の実現に向けた研究を行っている。

八代嘉美

藤田医科大学橋渡し研究支援人材統合教育・育成センター教授

1976年、愛知県生まれ。名城大学薬学部薬学科卒業。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了、博士(医学)。慶應義塾大学医学部生理学教室特任助教、京都大学iPS細胞研究所特定准教授、神奈川県立保健福祉大学教授を経て2023年より藤田医科大学橋渡し研究支援人材統合教育・育成センター教授。このほか慶應義塾大学殿町先端研究教育連携スクエア特任副センター長・教授、同医学部整形外科学教室訪問教授、国立医薬品食品衛生研究所再生・細胞医療製品訪問研究員も兼ねる。専門は幹細胞生物学、科学技術社会論。体性幹細胞の基礎研究や再生医療の実用化研究のほか、ポピュラーカルチャーを題材にした生命科学の社会受容の研究を行う。著書に『iPS細胞 世紀の発見が医療を変える』(平凡社)など。訳書に『幹細胞―ES細胞・iPS細胞・再生医療』(ジョナサン・スラック著、岩波書店)。


CCBT「アート・インキュベーション・プログラム」とは

CCBTのコアプログラムのひとつである「アート・インキュベーション」は、クリエイターに新たな創作活動の機会を提供し、そのプロセスを市民(シビック)に開放することで、都市をより良く変える表現・探求・アクションの創造を目指すプログラムです。公募・選考によって選ばれる5組のクリエイターは、「CCBTアーティスト・フェロー」として、企画の具体化と発表、創作過程の公開やワークショップ、トークイベント等を実施し、CCBTのパートナーとして活動します。

HUMAN AWESOME ERRORHUMAN AWESOME ERROR

社会における自己証明の不確かさを発端に名付けられたHUMAN AWESOME ERRORは、システムエラーから痛快な視点を見出すコレクティブとして2019年より発足。蔡 海、福原志保を中心にプロジェクトごとにチームを組成しながら、映像、ドローイング、立体造形、インスタレーション、プロダクト、バイオテック、工芸など様々なメディアを横断しながら活動。「Super Cell」のプロジェクトでは、冷凍保存された福原志保のがん細胞をラボに移設し、培養することを目指しながら、生命倫理への問いかけや新たな免疫研究に挑戦します。2024年現在、東京と京都の2つの拠点をベースにテーマを深堀中。

企画・制作
HUMAN AWESOME ERROR
主催
シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT](公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)

※本プログラムは科学研究費補助金基盤(B)「サイエンスとサイエンスフィクションで探るヒトの生命の形」の一環としても実施されます。 八代嘉美(藤田医科大学、橋渡し研究シーズ探索センター、教授)/金子 新(京都大学iPS細胞研究所 教授/筑波大学医学医療系 教授)東島 仁(千葉大学、大学院国際学術研究院、准教授)/岩崎秀雄(早稲田大学、理工学術院 先進理工学部、教授)