Future Ideations Camp Vol.5 AIは生命になり得るか?

共に在るためのゆらぎ
~脱人間中心主義に向けて~

メンバー
Nishikata、Eriko、Nanami

私たちは前提として共生している。
人間の多様性が一人一人によって既に成し遂げられているように、私たちが地球という惑星に共に在ること自体が、共生の状態が実現されている何よりの証拠である。
人間のことを認知しているのか、あるいはしていないのか。
それを考えているのは人間だけで、そこに共に在ることに変わりはない。

この共生という状態を知るために、人間の視点から離れなければならない。
私たちは知りたい、見てみたい。
これまで見ていた世界がまるっと変わるような瞬間は、恐らく人間のままでは味わえない。

共に生きるとはどういうことか。
一緒に生きている状態だけを見て人間が言っている状態。
それは果たして「共に」なのか?
今は人間が「共に」と思っている。

それは片方からの押しつけではないか。
本当に「共に」を言うのであれば人間主義を脱して、人間もAI側の意志を聞けるようになる必要があるのではないか。

だから脱人間主義は必要だと思うのである。そうしないと「共に」は達成しない。
だが、人間が作るものである限り、また、人間が人間である限り人間中心主義から脱することはできないのではないか。自分が自分しか生きられないように…

存在しない知性

メンバー
岡田理央、神楽坂やちま、坂本香子、Joanna Lyu、高槻美羽、湯谷承将

人は命を繋ぐためにエネルギーを摂取し、肉体的・精神的危機を回避し、知識や文化を紡ぐ。一見、生存に直結しないように見える知性でさえも、種の多様性を生み出し、ヒトという種を保存している。全ての知性は「生存」のために情報を処理しており、生存とは無関係の知性は存在しないと考える。本作では、”存在しない知性”とは、生存を目的としない知性であると定義し、目的関数を持たない知性が存在し得るのか? それがどのような形になるのかを考察する。
空間的なパターン生成のみを行う「CPPN(Compositional Pattern Producing Network)」というネットワークを使用する。CPPNによって生成された画像の各ピクセルは、それぞれの位置に基づいて相互に影響を与え、生命のような有機的な連続性や自己組織化されたパターンが生まれる。
鑑賞者の選択を基に、遺伝的アルゴリズムによってネットワークが進化する。人間の好みに寄り添って進化したネットワーク(≒目的に最適化される)と、選択されなかったネットワーク(≒何にも最適化されない)が生まれる。選択されなかったネットワークを「目的関数のない知性(≒存在しない知性)」と定義したとき、目的によって最適化された(≒知性的な)ネットワークとの間にどのような差異が生まれるのか?共に考え、進化を続ける、鑑賞者参加型の作品である。

認識の層をめくる

メンバー
加藤優、関裕保、tanka、Lily Okamoto、楊婷舒

私たちの皮膚は世界との境界として機能し、その境界を曖昧にするのが服、すなわちファッションではないだろうか。 本作品は、2次元から3次元への圧縮と解凍で整うA-Iife Fashionの体験型展示である。 来場者の全身を撮影し、AIによって2D写真を3Dモデルに再構築します。さらに、断面を複数の層に分割し、画像生成技術を用いて環境や身の回りの素材と融合させます。 出力される透明な直方体の内に展示されます。変容された「私」の解剖図は、既存の輪郭を揺るがし、新たなファッション性を表現することでしょう。

モノのあは

メンバー
安藤祐介、えんぬ、加藤夢生、吉田佳寿美

「もののあはれ」とは、周囲のモノに触発されて湧き上がるしみじみとした情緒美を指す。本作品は、文字・ロボット・AIといった「モノ」たちの(非)身体性を通じ、人間身体の有限性を超えた死生観を問う。 人間の生は儚い。恋心はその儚さ故に脆く輝く。人々はその一瞬の想いを詩に込めてきた。
床に散らばるのはChatGPT生成の「ルンバの恋歌」である。空間内を動き回るルンバは、その断片を吸収すると同時に生産する。その様子は人間的詩情など意に介さない無慈悲なお掃除ロボットのようでも、既存の詩から新たな詩を紡ぎ出す勤勉な学習者のようでもある。
恋歌の作者は誰か?その解釈は鑑賞者に開かれている。ロボット、AI、あるいは過去の人間かもしれない。詩の行き先も同様である。
人間身体の有限性を前提としないモノたちは私たちにどのような生を提示するだろうか。

While You’re Busy Making Other Plans

メンバー
出野実、北川麗

もっと強引で、もっとその場しのぎで。生命の定義は文化に溶け、時代に揺れる。100年、1000年先をくぐりぬける生命観は何か。