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レポート

「シビック・ファッション」。2026年度のテーマとして掲げられたこの言葉には、まだ厳密な意味が与えられていません。むしろ、積極的に意味の更新を重ねていくことでそのたびに都市への新たなアプローチを生み出していくような、軽やかで動的なクリエイティブのあり方が意図されています。CCBTスタッフのあいだでも、ふるまいが伝播していく「レゾナンス(共鳴関係)」、制度の内外をひっくり返す「一時的、変更可能な状態」など、それぞれが描くさまざまなイメージのもとでプロジェクトを進めています。

「Open Base Saturdays」は、CCBTならではの専門性や分野をまたぐゲストを迎え、開かれた場でみなさんと一緒に「シビック・ファッション」を切り口に、「シビック・クリエイティブ」について考える月1回の連続ミートアップ。ソフトなテクノロジーとしての都市文化、具体的なかたちのないコミュニティ、既存のルールを越境する多元性や複数性を織り上げていく実践として始まったCCBTの新たな試みです。

第1回目のゲストは、2026年度アート・インキュベーション・プログラムのメンターを務める蘆田裕史氏と石川由佳子氏。それぞれの活動における都市へのアプローチを紹介するプレゼンテーションの後、トークセッション、会場からの質問への応答を行いました。トーク終了後は「Base After Hours」としてゲストのみならず参加者同士の交流を深めました。初回ながら多くの参加者を迎え、盛況となったイベントの模様をお届けします。

Open Base Saturdays #1「シビック・ファッションはじめます」

開催日時:2026年6月6日(土)18:00〜20:00(受付開始・開場:17:30)
会場:シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]B1 STUDIO , 3F BASE

都市の「使い手」としての私/石川由佳子

自分たちの手で都市の暮らしをつくるをモットーに、国内外で市民主体のまちづくりを支援する活動をしています。5年前に立ち上げた都市体験のデザインスタジオ「for Cities」を中心に、複数の場所や団体の運営も行なっています。

私自身「アーバニスト」と名乗っています。辞書を引くと「都市計画者」と「都市に住みながら生活を楽しむ個人」という定義があります。私はどちらかと言うとふたつ目の意味で捉えていて、個人がいかに都市へ関わっていけるかについて、思いを持って活動をしています。まちづくりや都市という言葉から、みなさんはものすごく距離を感じたり、大きな範囲のものだと感じられると思います。私は東京出身で海外で育った経験もあるのですが、東京にいるとやっぱり「作り手」と「使い手」の乖離を感じる。例えば、プロジェクトに高校生が関わることもあるのですが、スタバでコーヒー代600円を払わないと学校外に居場所がないと話していて、消費が不可欠な都市となり余白がどんどんなくなってきています。そのことに、私はずっと違和感を持ってきました。使い手としての個人がもっと自由に楽しく都市に介入し、自分たちらしく使えること。それが住みたい街の条件であるし、その結果、良い街に近づいていくのだと考えています。

for Citiesは、これまでにさまざまな方々と学び合いながらローカルをグローバルにする活動を行なってきました。毎年、都市のフェスティバル「for Cities Week」をいろいろな国の都市で行なっています。私が育ったヨーロッパはそれぞれの都市実践をEU内で学び合うプラットフォームやネットワークが豊かな一方、母国を含むアジアでは、国を越える軽やかさがないという課題がある。それを繋げるような活動をまさにコロナ禍から始めました。これまではエジプトのカイロ、タイのチェンマイで開催し、一昨年のベトナムのホーチミンではスタジオを作って今でも活動を継続しています。今年は、パキスタンのイスラマバード。アメリカの停戦協定が行われているようなタイミングでかろうじてやったり……、なかなかハードコアな状況でやっています。これまで注目されてこなかった非ヨーロッパ圏のアジア地域の小さな実践を世界に発信していくことに取り組んでいます。

石川さんが携わるプロジェクト

1.「Urbanist Camp Tokyo –Rewilding-」
都市の再野生化をテーマに、大丸有のエリアで生き物や自然との共存を実証実験している。

2.神田「watage
10年後の再開発が予定される神田・鍛冶町に、日鉄興和不動産と共同でコミュニティスペースを運営。まちづくりの議論のテーブルにのりづらい10代、20代の若い世代が未来のまちづくりに関われる場を目指し、パブリックスペースの使い方を探るサマースクールや、住民から古い写真を集めて街の小さな物語=アーカイブを収集するプログラムを実践している。

3.西新宿「nae
大規模開発が予定される西新宿の暫定地を、単なる駐車場などにせず都市のために活用する提案として、空き地をコミュニティガーデンにしたり、大学と連携した街のアーカイブ活動を行ない、将来のまちのあり方を市民とともに提案していく活動を行っている。

4.まちとみどりのいい関係を育む「Dear Tree Project
神田の街路樹伐採現場に立ち会ったことを機に発足。みどり物語を辿りながら街へ介入するための街路樹マップを作成するほか、つくば市と連携して空き森林と使い手をマッチングする森林バンク制度の立ち上げにも携わっている。都内の小学校の授業などでも身近なみどりを知るプログラムを実施している。

5.「みどりのコミュニティ(SOCIAL GREEN DESIGN)
全国の庭師やランドスケープデザイナーなどみどりに関わる作り手が、つくったあとのみどりの価値をいかに育てるかを学び合うコミュニティ。

変化し続ける訂正可能な都市/蘆田裕史

普段は大学の教員として働いていて、ファッションとファッションデザインの研究と批評を行なっています。僕の活動について詳細にお話するかわりに、実践するという意味でもCCBTが今年度テーマに掲げた、シビック・ファッションとは何かということについてお話させていただこうと思います。CCBTからシビック・ファッションについてステートメントが出されているのですが、それは一旦傍に置いて考えてみました。普段、僕はファッションの定義を細かく考えていくのですが、そうするとファッションを専門とする人の間でしか議論ができなくなってしまうので、今日のような他分野・他領域の人と話す際はむしろ議論を広げるために、あえて定義を拡張してみます。

「ファッションとは装いである」というところから出発しようと思います。そうするならばシビック・ファッションは、公園、街路樹、ショーウインドウ、街を歩く人々……、そういった都市の表層にあるものと言える。しかし、都市の表層すべてがファッションと言えてしまうなら、それはすべてであって何も言っていないことになってしまう。そこで視点を変えて、「シビック・ファッション」と「シティスケープ」の違いを見てみます。ランドスケープは自然の風景、シティスケープは都市の風景だとして、わざわざシビック・ファッションという言葉を使うのであれば、それとは違う意味があるのではないか。今度はファッションを「流行」と捉え、流れゆくものとするならば、シビック・ファッションでは都市を流れていくもの、流動的に変化していくものとして捉えられる。ランドスケープを思い浮かべてみると、自然の風景が固定化されているもののように感じられると思います。同じようにシティスケープも、公共的な橋のような建築が変わらずにあるものとしてイメージされると思います。対してシビック・ファッションは固定的な変化のないシティスケープとは違い、都市を軽いものとして捉えることができるのではないかと考えました。そうするとシビック・ファッションとは、「変化し続ける/訂正可能なものとしての都市」と定義できる。

みなさんとお話してみたいのは、流動的な都市のもっとも大きな要素は人という点です。建築物は10年、100年変わらないかもしれないけれど、人は歩いていて動いていくものですし、今日そこにいる人、明日そこにいる人とではまったく違う人がいる。そこでは流動的な人が重要な存在になっていくのではないか。石川さんはアーバニストとして都市をどう使うかということを実践されています。そういった都市を実践する人の役割を考えてみる。ファッションというものは、流行が変わっていくとみなさんも僕も着るものが変わっていきます。都市や建築に比べて服は、5年後、10年後には着られなくなるので軽いものとして扱われがちです。しかし、都市が不変なものであることは本当に良いことなのか。サステナブルという言葉がよく使われていて持続可能性と言われていますが、それは必ずしも変化しないということではないのではないか。もし都市が訂正可能なものならば、それはどのように作れるのか。こういったことを僕から話題提供として、石川さんに聞いてみたいなと思っています。

対談|手が届く範囲から街は変わっていく

伊藤隆之(モデレーター):シビック・ファッションは、定義のない言葉なのでこれから議論を深めていきたいと思っています。「シビック」は、CCBTのシビック・クリエイティブ・ベース東京から来ているのですが、「シビックテック」と呼ばれる分野があって、企業や研究室で作られた技術ではなく一般の人々を含めたみんなによってテクノロジーを用いたクリエイティブを行う活動で、そういった文脈からCCBTのシビックは来ています。これまでのお話を聞いていて面白かったのは、石川さんが話していた小さな活動を支えていくという姿勢。蘆田さんがお話されていた訂正可能である状態は、小さな手続きの連続のなかで生まれていくものだと考えていて、その点でお二人のお話が接続されたように思いました。それでは、よろしくお願いします。

蘆田裕史:石川さんはアーバニストという肩書きを名乗ってるじゃないですか。まだ普及していない肩書きを名乗る人はかっこいいなと思っていて。

石川由佳子:怪しくないですか(笑)?

蘆田:いやいや(笑)、デザインリサーチャーという肩書きも増えてきましたけど、覚悟を持っているのがすごいなと思います。建築家などの作り手の視点だけでは足りないと感じて名乗っていると思うのですが、ファッションでも作り手の思いを引き受けて着る人は、いたとしても多くはなく、デザイナーの手から離れて僕たちの実践としてファッションが成り立っている。やっぱり都市計画のなかでも使い手に注目されることはあまりないんですか?

石川:最近の流れでは、むしろ使い手が主体になってきています。シビックという言葉は、おそらく過去の文脈では公的なものに対して使われていたものが今では市民主体で公的なものへ介入していくという文脈で使われ始めていると思います。まさに市民個人がいかに公共的なものや街のデザインに関われるかという点がトレンドなんじゃないでしょうか。サービスを受け取る消費者的な態度からどう使っていくかというパワーを持たないといけなくなってきている。

蘆田:10年以上前に、山崎亮さんがコミュニティデザイナーという肩書きを名乗られていて、いまではソーシャルデザインと呼ばれることが増えました。コミュニティデザインと石川さんの活動は、同じようなものとして見ていいのでしょうか。あるいは、違うところはどんなところでしょうか。

石川:系譜には入ってくるでしょうね。ソフトな状況から街を作っていくという点では影響を受けていますが、フィールドが違ったり、現場の対応も違ったりするのかなと思います。便宜上コミュニティデザインという言葉を使うこともあるのですが、そもそもコミュニティをデザインできるものだと思ってなくて。コミュニティは計画してできるものではないので、むしろ下支えするような関係や生まれる確率が上がる環境与件や条件をどう作れるかに関心があります。

蘆田:都市の余白や余裕が必要と話されていた通り、デザインされたものを作るというよりもやっぱり石川さん自身が使い手の側に立って、一緒に作っていく感じなんですね。

石川:そうですね。誰のために、何のためにやっているの?と聞かれるのですが、常に自分のためにやっています。自分が良いと思うもの、関わる人たちがハッピーになる状況をまず考えていて、何か大きなことをしでかそうとは思っていない。手が届く、自分が責任を持てる範囲というのは、とても大事なことなんです。

蘆田:石川さんが住んでいらっしゃる場所だけではなくグローバルに活動されているじゃないですか。身の回りで終わってない気もするんですけど、どうですか?

石川:どの地域にも何かしら自分との繋がりがあるという感覚ですね。都市は何も考えなくてもシステムのなかで簡単に生きていけてしまう。誰と話さなくてもなんとなく過ごしていけるような思考停止な状況に陥りやすい。それは危険だな、と。ルールを破ったりずらしたりして都市の使い方を拡張できる個人には筋力が必要で、そういうトレーニングをできる状況をもっと増やしていきたい。そういう人がいろいろな場所にいれば、街ってじわじわと変わっていくんじゃないかなと信じています。

会場質問|大きな都市へ小さな個人がアプローチするには?

[質問1]
訂正可能という言葉がとても優しさに溢れている印象がありました。今の東京または原宿に対して訂正可能な状態であればいいのにと思う状況はありますか?

蘆田:すみません、東京に住んでいないので実はあまりわからないんです(笑)。僕個人の話をすれば、普段は京都に住んでいて、ちょうど10年前くらいに町家をリノベーションして妻と子どもと3人で住んでいます。設計したのはコロナ禍以前で、まさに社会の状況が変化したときに家自体も変えられるような訂正可能性があればという出来事がありました。というのも、2階の廊下的な部分に長いワークスペース用の机を置いて誰でも使えるスペースを作ったのですが、コロナ禍以降オンライン会議が増え、オープンスペースでは周りの音が入ってしまいうまくいかなかったんですね。都市レベルでも同じように、東京あるいは原宿で使い手としてここがもっとこうだったらいいのになという視点を一人ひとりが見つけて、共有できる場があればいいのではないかと思いました。

石川:都市は硬くてグレーで手が加えられないイメージがあるかもしれないですが、ファッションから考えると、東京、ベトナム、オランダにいるときの私の装いって全然違うんですよね。例えばオランダに住んでいるときは、銀色の服は着られなくて、東京ではキラキラ光る服を着たいと思って(笑)。

蘆田:どうして着られないんでしょうか?

石川:オランダでは似合わないなあ、と(笑)。よく考えるとそれって建物が作り出しているものもあるかもしれないけれど、そこにいる人たちのムードや気配に影響を受けている。オランダは自転車文化だから汚れたり絡まったりするものは日常レベルでは着られない。つまり、都市と自分のあいだに中間レイヤーがあって、所属しているコミュニティとか周りの集団の振る舞いをキャッチして反応しているんじゃないかな、と。そう考えると、間にアプローチすることはもっと軽やかにできるんじゃないかと考えました。

蘆田:さきほどファッションは軽いという言い方をしたのですが、服って明日から着るものを変えられるんですね。もしオランダに行くのであれば、京都と全然違うものにすることができる。家も都市も変えることはなかなかできない。軽さは、軽薄とも捉えられるのですがポジティブにも捉えられる。シビック・ファッションの変わりうる軽さは今後もっと考えてみてもいいのかなと思いますね。

[質問2]
蘆田さんの都市を実践する人の役割は何かという問いかけがありましたが、ファッションにおいて着る人の役割はあまり語られていない印象があります。都市のなかでファッションを実践する人の役割とは何でしょうか?

石川:最初にシビック・ファッションと聞いたときに思い浮かんだ人がいるんですよ。それが新宿タイガーと呼ばれている方。何十年も奇抜なファッションで新聞配達をする方で、私も何度か遭遇したことがあるのですが、ぼんやりと思い浮かんだんですね。遭遇した一瞬の歌舞伎町ってちょっと変なんです。他人だったわれわれが新宿タイガーの出現により一体感が生まれて、仲間意識を持ち合うみたいな。都市のなかでの違和感が、私たちに一瞬影響を与えて、関係性をずらしたことがすごく面白かった。個人が周辺にインパクトを与えられる最小単位、最小の状況を見たな、と。

蘆田:ファッションは、アイデンティティが可視化されるものだと思っていて。どんな食事が好きか、どんな映画が好きかは、ある特定の場面に出くわさないとわからないじゃないですか。でもその人の存在を見ると必ず服も見ることになる。その意味ではファッションからその人の考えやアイデンティティが可視化される。なので都市のなかでも、服を着る人が歩き、行き交うことで石川さんが話されていたムードや雰囲気が作られていく。

[質問3]
移ろいやすく高速で変わってしまうサイクルやワードローブから溢れる衣服の山などに象徴されるように、ファッションはあまりにも訂正可能すぎると言えないでしょうか。訂正可能な都市のポジティブな面を伺いたいです。

蘆田:身も蓋もないことを言うと、世の中バランスが一番大事だと思っているので(笑)。軽さと重さのバランス、どっちも大事なのかな、と。ただ、ファストファッションのように使い捨ての建築が生まれてしまうと、それはそれでよくない。

[質問4]
コミュニティはデザインできるものではなく、よいプロジェクトやコミュニティを自然発生させることも難しいのではないかと思います。そういったものをデザインしない部分、できない部分をお伺いしたいです。

石川:コミュニティは生き物なので、ひとつの正解としてのメソッドはないんじゃないかと思います。アプローチとして場所を作ることもあるし、すでにあるコミュニティがドライブする制度を作ることもある。目標となるコミュニティがあって作るものではなく、その周辺からどうアプローチしていくものなんじゃないかなと考えています。

[質問5]
都市で暮らしている人々が大規模な開発に抵抗するハードルが高いように、ファッションもデザイナーの作品である以前に商品として現れること、むしろ商品としてのみ現れる点に問題があると思います。そのとき人々が抵抗できるシビック的なアプローチとは何でしょうか?

蘆田:質問を受けて考えたのですが、商品というのは既製服ということですよね。実践できているわけではないので偉そうには言えないんですけれども、オートクチュールという高級仕立て服以前のあり方に戻ってみたらいいんじゃないかと常々思ったりしているんですね。かつてのように生地屋さんや仕立て屋さんがもっと街にあれば、相談しながら着たい服を作ってもらうことができ、余白のない法やルールから逃れることもできる。そういったファッション産業のシステムから変わっていくと、街の風景も変わっていくのかもしれない。

石川:開発の文脈で言えば、抵抗というかたちでは変わらないと思っています。もともと伐採へ抵抗する現場を見て立ち上げたのが「Dear Tree Project」だったんです。そこでは何か問題が起こる手前から介入するようなあり方が必要で、まちの街路樹やみどりのデータを民主化するというところから始めました。今、小さな単位の活動がちゃんと見えるようになってきているし、大きな動きへのインパクトになりうる。A対Bという構図ではなく、抵抗の手前から自分たちの主張をかたちにしていくこと。それがとても重要です。

OBS#1 シビック・ファッションのキーワード

1.「コミュニティの濃さ」2.「軽やかさ」3.「都市介入の手段」(石川さん)
1.「余白」2.「装い」3.「訂正可能性」4.「アンコントローラブル」(蘆田さん)

Base After Hours|会場風景&シビック・ファッションを深める「おすすめ図書」

石川さんおすすめ図書|空間と身体の関係性を知る

1.『東京の空間人類学』陣内秀信(筑摩書房)
「シビックという領域を考えるうえで、いかに空間が人の振る舞いを変えるのかを知るきっかけに。どのように東京の文化が育まれてきたのかが分かり面白かったです」

2.『誰もがデザインする時代のデザイン 日々の営みからソーシャルイノベーションを生み出すための思想と実践 』エツィオ・マンズィーニ著/八重樫文、中山郁英監訳(BNN)
「個人と個人が集合し、社会や時代を動かしていくための教科書のような内容です。どういったデザインやアクションをすべきかヒントになりそう」

3.『ちぐはぐな身体 ファッションって何? 』鷲田清一(筑摩書房)
「ファッションを専門としていない私の本棚に唯一あった本。いろいろな存在への想像力として、装う身体やファッションがあるのだと思いました」

蘆田さんおすすめ図書|目的の達成と逸脱を同時に考える

1.『モノからモノが生まれる』ブルーノ・ムナーリ著/萱野有美訳(みすず書房)
「問題解決のための具体的な実践例を書いてくれているので、デザインに興味がある方は最初に読むべき本です」

2.『目的への抵抗 シリーズ哲学講話』國分功一郎(新潮社)
「ムナーリの目的思考的なデザインと同時に、目的に縛られすぎないバランスも重要。落としどころをその時々で考え、目的達成と余白を確保するためのセットになれば」

3.『庭のかたちが生まれるとき 庭園の詩学と庭師の知恵』山内朋樹(フィルムアート社)
「庭が生まれていくさまをものすごく細かく観察する、ものの見方について学べる本。庭は視覚的な見た目が重要でもあり、ファッションと都市という関係性において重要な存在かもしれないと思い、選んでみました」

蘆田裕史Ashida Hiroshi

ファッション論、京都精華大学デザイン学部教授

1978年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程単位取得退学。京都服飾文化研究財団アソシエイト・キュレーターなどを経て、現在、京都精華大学デザイン学部教授。専門はファッション論。著書に『言葉と衣服』(2021年、アダチプレス)、『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ』(共編著、2022年、フィルムアート社)など。訳書にヴァレリー・スティール『ファッションセオリー——ヴァレリー・スティール著作選集』(共監訳、2025年、アダチプレス)などがある。ファッションの批評誌『vanitas』(アダチプレス)編集委員、本と服の店「コトバトフク」の運営メンバーも務める。

石川由佳子Ishikawa Yukako

アーバニスト、エクスペリエンス・デザイナー/一般社団法人 for Cities共同代表理事/Dear Tree Project主宰/一般社団法人ソーシャルグリーンデザイン協会理事/watage ディレクター/nae ディレクター/女子美術大学非常勤講師

「自分たちの手で、都市を使いこなす」ことをモットーに、東京、カイロ、ホーチミンなど国内外の都市で市民主体の小さな活動を街の中で企てていく。都市体験のデザインスタジオ「for Cities」共同代表理事。世界中のアーバニストのためのプラットフォーム「forcities.org」や学びの場「Urbanist School」を国内外で企画・運営。神田にコミュニティ拠点「watage」、西新宿に「nae」を立ち上げ。ユース世代や子どもを中心とした地域プロジェクトを展開。街路樹や都市のみどりを活用するためのデータプラットフォーム「Dear Tree Project」主宰。

https://linktr.ee/YukakoIshikawa

伊藤隆之Ito Takayuki

シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]

2023年まで山口情報芸術センター[YCAM] InterLabディレクターをつとめる。現在は、Civic Creative Base Tokyo [CCBT]にてテクニカル全般のディレクションを行う。音響エンジニアリング、ソフトウェア開発からバイオテクノロジーの応用まで、幅広い技術ディレクションを手がけ、多くの芸術作品やワークショップの制作、イベントやプロジェクトの企画などに関わる。

酒井瑛作Sakai Eisaku

ライター、エディター

1993年、神奈川県生まれ。主に写真家へのインタビュー、展覧会レビューなど写真をはじめとした視覚文化・芸術にまつわる執筆活動を行う。近年は、エディターとして展覧会の企画・制作、アートブックの出版などに携わる。