Future Ideations Camp Vol.5 AIは生命になり得るか?

「AIへと至る歴史と今 社会とAI」

DAY 1

2025.1.25

・事業説明「本プログラムについて」
・参加者活動紹介

  1. 【レクチャー・ハンズオン】「AI/ロボットとの付き合い方」
    講師:江間有沙(東京大学国際高等研究所 東京カレッジ准教授、理化学研究所 革新知能統合研究センター 客員研究員)
  2. 【レクチャー・ハンズオン】AI以前と現在
    講師:土井樹(Alternative Machine Inc. シニアリサーチャー、学術博士)
  3. 基調講演「Agency Emerges!:  ALifeのアプローチから考える」
    講師:池上高志(理学博士(物理学)、東京大学広域システム科学系 教授)

「人工知能(AI)」を起点として「自律性」をキーワードに、人間とテクノロジーのこれからの関係性について「人工生命(ALife)」のプラクティスを参照しながら考え、提案する5日間のキャンプ。多様な専門性を持った参加者24名が集合し、それぞれの活動を紹介することからスタート。
続いて、初日のテーマ「AIへと至る歴史と今 社会とAI」に基づき、AI/ロボットと社会の関係性について研究する江間有紗によるレクチャーが行われた。人工知能やその知見を応用し運用されているサービス等について、社会に存在する差別や偏見も再生産されてしまう可能性があることなどが問題点として提起され、技術の活用にあたって議論されるべき焦点について語られた。さらに、分身ロボットOriHimeを介したゆきさんとの対話から、人間とAI/ロボットをはじめとするテクノロジーとの共生を見据え、どのような社会を描き、選び取っていきたいか問いが投げかけられた。
2人目の講師は、本キャンプのディレクター土井樹。ソクラテスからフォン・ノイマンやノーバート・ウイナーなど、多くの歴史上の人物たちの言葉を引用しながら、「知性」を取り巻く研究の歴史や、それらをどう数理的に扱うのか、さらには、その延長上に見出されるAIの誕生までの流れが、紀元前450年を起点とする壮大な歴史として語られた。
初日の締めくくりには、人工生命研究の第一人者である池上高志による基調講演を開催。生命性を発見するために試行されてきた多様なアプローチが紹介され、それらを通じて、ALifeの定義や考え方が示された。キャンプを通じて挑戦すべき具体的なイメージが共有され、参加者を鼓舞する刺激的な会となった。

 「生成AI」から「生命AI」へ?

DAY 2

2025.1.26

  1. 【ワークショップ】Court of Life
    講師:Playfool(デザイナー、アーティスト)
  2. 【ハンズオン】Can AI Become Life?
    講師:升森敦⼠(人工生命研究者、東京大学大学院特任研究員/Alternative Machine Inc. 代表取締役)、丸⼭典宏(Alternative Machine Inc. シニアリサーチャー、東京大学大学院特任研究員)
  3. 【ミートアップ】ハロー!キャンパーズ!AIは生命になり得るか?なるべきか?
    登壇:マルティン・オリーリ(スタジオ・コミュニティ責任者/Pervasive Media Studio)、レイチェル・スミス(アーティスト、ソフトウェアエンジニア、クリエイティブテクノロジスト)、加藤優(エンジニア、クリエータ/dot-hzm)、坂本香子(宇宙戦略本部長/株式会社スペースデータ)、林祐輔(研究者、AIアライメントネットワーク理事)、升森敦⼠、土井樹

2日目は、デザイナーでありアーティストのPlayfoolによるワークショップ「Court of Life(生命裁判)」が開廷。参加者は弁護側、検察側、そして陪審員に分かれ、石、ルンバ、渋谷、ミッキーなどを被告に「それは生命か否か」を審議。対象が有機物か無機物か、あるいは尊厳や自律性の有無などを巡り、白熱した議論が行われた。生命性に関する多様な視点が見出され、議論が深まる場となった。
続いて行われた、本キャンプのディレクター升森敦⼠、人工生命の研究者である丸⼭典宏によるハンズオンワークショップでは、オートポイエーシスやセンサーモーターカップリング、サブサンプションアーキテクチャなど、人工生命研究における重要なアイデアについての紹介から開始。その後、ヒューマノイド オルタ3でも採用されているLLM(大規模言語モデル)を応用した自律型ロボットの制御について、実践的なハンズオンが行われた。レクチャーの最後には、オルタ3自らが登壇し、参加者から寄せられた多様な質問に答えた。
2日目の最後は、ミートアップ「ハロー!キャンパーズ!AIは生命になり得るか?なるべきか?」を開催。本キャンプのために、イギリス・ブリストルのラボ型文化拠点Watershedから講師として来日したマルティン・オリーリ、レイチェル・スミスに加えて、今回のキャンプ参加者からも三名が登壇。それぞれの視点から「AIは生命になり得るか?なるべきか?」という問いに応答するプレゼンテーションと、ディレクター陣を交えたディスカッションが行われた。

Creative Practices in AI and Alife

DAY 3

2025.1.27

  1. 【ハンズオン】Rapid Prototyoing
    講師:マルティン・オリーリ、レイチェル・スミス
  2. 【ハンズオン】自律エージェントをつくる
    講師:堀川淳⼀郎(プログラマー、アルゴリズミックデザイナー)
  3. 【レクチャー・ディスカッション】AIとファッション/AIのためのファッション
    講師:長見佳祐(HATRA/ファッションデザイナー)、土井樹、升森敦⼠
  4. グループワーク

AIやALifeの技術や考え方を活用し、それぞれの領域において実践している事例やその方法論を紹介した、キャンプ3日目。
マルティン・オリーリとレイチェル・スミスによるワークショップ「Rapid Prototyping」から一日がスタート。「Making Things Quickly and Badly」を掲げ、ものづくりを「絵を描く」「要素を考える」「試す」「繰り返す」の4つのプロセスで提言。与えられた複数のアイデアに基づき、参加者も身の回りにある素材から、このプロセスを“素早く、下手くそに”に試行した。続いて、プログラマーでアルゴリズミックデザイナーである堀川淳⼀郎によるハンズオン「自律エージェントをつくる」では、ゲームエンジン「Unity」を使い、群れをなす動物の集団行動を模倣するために提唱されたシミュレーションモデル「ボイドモデル」の仕組みやその機能について学んだ。
AIやALifeの技術や考え方を活用し、それぞれの領域において実践している事例やその方法論を紹介したキャンプ3日目。

マルティン・オリーリとレイチェル・スミスによるワークショップ「Rapid Prototyping」から一日がスタート。「Making Things Quickly and Badly」を掲げ、ものづくりを「絵を描く」「要素を考える」「試す」「繰り返す」の4つのプロセスで提言。与えられた複数のアイデアに基づき、参加者も身の回りにある素材から、このプロセスを“素早く、下手くそに”に試行した。続いて、プログラマーでアルゴリズミックデザイナーである堀川淳⼀郎によるハンズオン「自律エージェントをつくる」では、ゲームエンジン「Unity」を使い、群れをなす動物の集団行動を模倣するために提唱されたシミュレーションモデル「ボイドモデル」の仕組みやその機能について学んだ。

日本のファッションブランドHATRAのデザイナー長見佳祐を講師に迎えた、本キャンプ最後の講義「AIとファッション/AIのためのファッション」では、生成AIを活用した服飾デザインの先進的な取り組みが紹介された。長見は、生成AIを単純に画像生成装置として使用しているのではなく、生成AIの潜在空間の中を「旅をする」感覚で向かい合っているという。会場、ディレクターを交えたディスカッションでは、長見の「揺れの増幅装置としての服」という考えをもとに、高次元空間に住むAIにとって服はどのようなものになりえるかといった議論が行われた。

3日間のレクチャーやハンズオンを経て抽出されたキーワードや参加者の興味関心から、「共生(社会)」「あり得たかもしれない知性」「ファッション」「AIの死生観&創造性」「人間から見た生命」の5つのテーマが確定。翌日からのグループワークへの準備が整えられた。

グループワーク・活動報告

DAY 4

2025.1.28

  1. グループワーク
    ファシリテーター:升森敦⼠、土井樹、キョウダカンジ、johnsmith、Playfool、堀川淳⼀郎、丸⼭典宏、マルティン・オリーリ、吉田崇英、レイチェル・スミス
  2. 中間発表・講評

DAY 5

2025.1.29

  1. グループワーク
    ファシリテーター:升森敦⼠、土井樹、キョウダカンジ、johnsmith、Playfool、堀川淳⼀郎、丸⼭典宏、マルティン・オリーリ、吉田崇英、レイチェル・スミス
  2. 活動報告

4日目・5日目は、プロジェクト展示に向けたグループワークが進行。3日間のレクチャーやワークショップを担当した講師群に加えファシリテーターがグループに併走し、ともに考え、試行する作業が繰り返された。
最終日となる5日目は、前日に行われた中間発表におけるフィードバックをもとに、アイデアをブラッシュアップ。急ピッチで具現化が進められた。
そして、最後の成果発表。各グループによるアウトプットの解説が行われ、それぞれ独自の視点から人工生命や生命感を捉え、さらには関連するトピックである人間中心主義や身体拡張の領域にまで言及。表現手法も多岐にわたり、共通するテーマ「AIは生命になり得るか」から多様な5つの提案/作品が完成。キャンプを通じて、参加者がテーマに主体的に関わり、人工生命について議論し、深く考えたことが反映された展示となった。